2 「ユウ!急いで! 約束の時間に遅れてるよ!!」 「わぁーってる! まずファーストネームで呼ぶな!」 「それより早く髪縛んないと、切っちゃうよ!」 今日は、新しく入ったユウのために、元帥が稽古をしてくれる事になっているのだ。 それなのに、私は寝坊をしてしまった…。 ユウが起こしてくれて本当に助かった。 私達は教団の森に急いでいるのだが、先程から一緒に走る奴の髪が顔に当たってしょうがない。 走りながらだと結びにくそうだが、しょうがない。 やれ。 「本当にさぁ、髪が長いと、ユウっぽくないね。 切っていい?」 「はあ!?」 「よし、決定! 後で切ったげる!」 「何で香奈に切られなくちゃいけないんだよ!!」 と隣で騒いでいるが、軽く無視。 ようやく着くと、既に元帥は待っていて、絵を描いていた。 「さて、始めるとしようか」 そして、訓練が始まった。 「ではユーくん、武器が出来てから数日は経つが、もう慣れたかね? 発動してみなさい」 ユウが背中に背負ってきた刀を抜刀し、刀身に指を添える。 ――六幻、発動!―― 動かした指の通った所が青白く光り、異様な威圧感に包まれる。 「よーし、よしよし。 では次に、私と勝負しよう。 倒してみなさい」 「…」 何の躊躇もなく斬りかかるユウだったが、元帥によって操られた木々によって動きを封じられる。 「災厄招来 界蟲『一幻』!」 何とか抜けだしたが、元帥がストップをかけた。 「近距離戦用の武器と遠距離戦用の武器では稽古になりにくい。 ってことで香奈、相手になってもらっても良いかな?」 …まぁ、ある程度は予想していた。 ―――蒼剣、いくよ。 . [*前へ][次へ#] |