12
「…で、これがこれからの香奈ちゃんの対アクマ武器、です」
渡されたのは布に包まれた細長い剣。
出してみると、常態が短剣ではなくなっていた。
鞘の紐に巻かれた部分を掴み、そっと剣を抜いてみる。
握るところは変わらず鉄で出来ているが、若干彫刻が変わっている…細かくなっている、というべきか。
刀身の部分には、新たに唐草模様が彫り込まれている。
「どう?
どこが大きく変わったか、違いは分かる?」
「…大きくなっただけじゃねぇのか」
ユウがボソッと呟く。
「…軽い。
前よりも、刀身が軽くなってる」
「正〜解!
前のやつは余程昔に作られたんだろうけど、今はもっと良い素材があるからね」
「あ、一応家宝らしいから、こっちのは返すな」
リーバーさんに渡されたのは、今までの剣。
「それと、短剣にしなかったのは、大きい方が持ち歩くのに便利かな〜と思って。
ほら、大きいとさ、鞘をぶら下げていられるでしょ?」
「なるほど、短剣だとポケットから出したり…とかが必要ですからね」
「さっそく、発動してごらんよ」
「あ、はい。
(……発動!)」
中が淡く蒼く光り、唐草模様が浮き出て見える。
「技とか使い方は大体前のと同じです。
…それで、香奈ちゃんだけに話があるんだけど、神田くん、ちょっとで良いから席外してくれるかな?」
黙ってその場を立ち、出ていくユウ。
扉が閉まったところで、話が始まった。
「肩の辺りにある三つ巴、自分でも気付いてると思うけど、六つ巴になってるんだ」
「あぁ…それぞれがハートみたいだから、花のような形ですよね」
「そこで、何度か調べてみたんだけど、結果はこんな感じになりました」
紙を渡される。
そこには要するに、巴一個一個が異なった力を持っているのだということが書かれていた。
元からあった三つ巴は、水・幻・龍。
六つ巴になると、そこにまた加えられるのだと。
「1つは氷だってわかってるんだけど、他の2つが…」
「?どうなったんですか?」
「…死に神と、ノア、って結果が出たよ」
「!?」
神、という単語で反応してしまった。
そうか、水神とか龍神とかって言うよな…。
一個一個が、1つの神を宿す、とか…?
でも、ノア、って…!!
「…それで、何か覚えはあるかい?」
そこで、私は素直にはい、と言いそうになって、開きかけた口を止めた。
夢で神に会った事も含め、この事は隠しておこうと思った。
「…いえ……。
まったく、何が何だか…」
後で、勇気が出てきたら言おうか…考えよう…。
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