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「う〜〜…」

暫く走って、誰もいない廊下の真ん中で止まる。

上を向いて、それでも零れそうな涙は、手で拭き取る。

ちょっとの差で追い付いて来たのは、ユウだった。

「香奈!!」

「…殴り合ってんじゃなかったの」

「ムカついたから」

「すーぐ、ユウはそうやって手上げるんだから」

「すまん。
…ほら」

そう言って、私の手を取って歩きだしたユウ。

怒ってないの?
いつまで経ってもラビに対して踏ん切りがつかない私を。
優柔不断な私を。

…逆に、私を怒鳴ったら手を切られるとでも思ってるのかな。

「……頭良くなったのか…?」

「何か言ったか」

「!?な、何でもないっ!!
ところで、どこに向かって歩いてるのかなぁ…」

歩いている方向や道順から、大体の予想は立ってはいるが…。

「科学班」

やっぱり、そうなのねー…。

「お前を呼んでくるように言われたんだよ」

「え、なんでだろ…」

「知らね。
多分、対アクマ武器の事じゃねぇのか?」

「あぁ…蒼剣を預けてるんだっけ。
修理するとか何とかで…」

「オレの六幻はまだだってのに…」

「六幻は大破しちゃってるから〜。
時間が掛かるんだよ」

「蒼剣だって、最初から作り直すとか言ってたぞ」

それ、私聞いてない…。
それから2人は黙ったままで、足音だけが廊下に響いている。

そして、科学班に着いた。

レベル4のアクマによる破損の修理や、ユウのように対アクマ武器の修理等が重なり、科学班は嵐のようだった。

「あのー…」

「あぁ、香奈ちゃんは先に奥の部屋に行っていてくれ!」

「は、はい!」

忙しい人達とは離れた所にぽつんとあるロングチェアに座る。

ユウは横に座った。

「もう帰っても良いよ?
対アクマ武器の説明だけだろうし」

「いや、ここにいる」

「?」

それから数十分して、仕事がちょうどよく切れたコムイさんとリーバー班長が来た。

「香奈ちゃぁ〜ん、もう僕へとへとだよ〜!
この人達が働かせるんだ!」

「何言ってんすか、室長!!」

あはははは…日常的な一幕だな〜。



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