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「…あぁ、やっぱり似合うさ」

そのまま両手をラビに片手で掴まれたまま、器用にも空いている片手で私の左手首に何かを付けた。

見れば、ビーズを通した三重のチョーカー。

「うん…首にアレが無いせいもあるかな」

「アレ…?」

ハートのネックレスの事…?

ユウが私にくれた、宝物。
それを知ってて…?

「ラビ…」

「オレのカノジョになって?」

「……ラビ…」

「OK、してくれる?」

「………」

そのまま黙っていると、今度は空いてる手で頬をそっと触れられ…、
またしても…。

「…はぁ…香奈…?」

「…ラビ…?
何度こうやっても、私の心はユウに決め…」

「オレにしろよ!
オレに…して、くれよ…」

「ラビ…」

そんな悲しい声を出さないで…。

私の心がいつまで経っても揺れ動いてしまうから…。

私はユウに決めた…んだから…。

「お願い…やめて……」

胸が苦しくて、目尻からは涙が零れ落ちた。

「泣くなよ…香奈…」

すると、その時…。

「……香奈…?」

ノックもせずに、入って来た人。

私達の状況を見て固まった人。

それは、私の心に決めた人。

「オイ…」

「ユ…ウ……」

助けて、心の中ではそう叫んでいるのに、声に出す事が出来ない。

ラビの悲しい声が耳から離れないせいだ。

「てめぇら何やってんだ…」

「ユウには関係ないさ。
香奈はオレが貰うんだ」

「はぁ!?
バカ言ってんじゃねぇぞ」

「マジで言ってんさ。
ユウに香奈を幸せに出来るのか信じられんし」

「それはお前だってどうなんだかな。
香奈はオレのもんなんだよ」

ユウ…微妙に恥ずかしいです…。

「そんなのいつ決めたんだよ。
今の香奈の心はどうなんだか分からねぇじゃん」

「決まってんだろうが。
このバカ兎」

「いつもそうやってすぐ暴言に走る。
ユウはまだまだ子供さね」

「んだと…?
てめ…っ!!」

「何だよ、やるのか?
望むところだ」

そう言ってラビは私から手を離し、ポーズをとる。

「ちょっと!!
何する気!?」

何を言っても聞かない振り。

とうとうユウから手を出し、それを避けたラビが反撃の一撃を決めようとする。

だが、その間に私が入り…、

―――パシッ

「いてぇー…」

「…ラビは勝手過ぎるよ。
私の事もちょっとは考えてよ!!」

「あ…香奈!?」

私を止めようとしたラビだったが、私は構わず部屋を後にした。



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