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「オイ、持ってきたぞ」
そう言いながら、ユウが入ってきた。
「ごくろうさまー」
「これ、重かった」
「ありがとね、ユウ」
「ふん、別に…」
「じゃ、いただきまーす」
私が頼んだのは、雑炊にサラダにホットケーキ。
バランスは偏っている気がするけど、好きな食べ物で軽いものは少なくて。
「そうだ、私の事、香奈って呼んで」
「…あ゙?」
「名前、間違ってた。
香奈の方が正解だったの」
「…もうどっちでも良い気がする」
「あは、私もそう思うけど、一応、ね。
さっきコムイさんには言ったから、教団の情報はすぐに書き換えられてると思う」
「じゃあ元に戻るんだな」
「あ、子供時代の香奈と今目の前にいる香奈、同じじゃないからね!
間違ってもあの頃は可愛かったとか言わないでよ!」
「…あの頃は違う方なんか。
どっちにしろ、そんな事口が裂けてもいわねぇよ」
「え〜?
言ってよ」
「嫌だ」
「言って言って言って〜」
「…………」
「…ま、言われても困るからいいけどぉ〜」
「香奈は世界中で一番可愛い」
「ゴフッ……
……!!!?」
口に入れかけたご飯を吹き出してしまい、ユウの方を睨む。
「き…き……き……」
「気持ち悪いとかまた言うなよ」
「急に変な事言わないでよ!!」
「はぁ!?
言えっつったのはそっちだろ!!」
「まさか言うとは思ってないから、言えって言ったのよ!
何で急に言ったの!」
「本音だからだ!!」
へ?
思いがけない言葉が出てきたので、思わず目が点になってしまう。
「……ユウ…」
「あぁ?
んだよ」
「看護婦さん呼ぼうか?」
「はぁ!?
…帰るっ!!」
「あっ、ちょっと待ってよー!」
私はこの病室から出られないのに。
またユウが来るまでに何日かかるだろう。
相当怒ってたよね。
まぁ、あんな事を言うくらいだから、しばらくしたら来るかな、待っていよ。
「………っ」
さっきから何だと言うのだろう。
キスはしてくるし、突然甘い言葉なんて。
…まるで、もう会えないみたいに。
ばふっとクッションに顔を埋めて顔の熱を冷まそうとしていたが、その事が心に引っ掛かって気になる。
とうとういてもたってもいられなくなって、ベッドから出る。
看護婦さんがいないのを良い事に、カーディガンを羽織って外へ走っていった。
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