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そっと唇が触れ合ってから、お互いに求め合うようになり、一瞬唇と唇が離れた時。
「あの〜…?」
間延びした声が私達のすぐ横からしたので、2人とも飛び上がるように驚いて、ばっと双方向に離れた。
その声の主はコムイ室長で、睨んでいるユウにたじたじの様子。
その後ろから、リナリーがひょこっと出てきた。
「元気?
大丈夫!?」
「へ、平気だよ!」
「ほらほら神田君、今は安静第一なんだから、もうお帰り」
「………」
私と一緒にいたい心と、私の為にここは出て行こうとする心が、攻めぎ合っているのが見て取れる。
「ね、ユウ。
もう大丈夫だから。
安心して蕎麦でも食べてきなよ。
リナリーとちょっと話したいから」
「………わかった。
すぐに戻る」
「あぁ、神田君、その頃には一般病室にいるかもしれないから、よろしく」
そして、ユウは部屋から出ていった。
「一般病室に移るんですか?」
「うん、目が覚めたらもう大丈夫だろうって。
ここ、特別病室にいる必要は無いらしいよ」
でも暫くは外出禁止だからねーと明るく言うコムイさん。
それから症状などをチェックしたコムイさんは、一旦科学班に戻って行った。
リナリーが、さっきまでユウが座っていたベッド脇の丸椅子に座る。
「本当に何とも無いの?」
「うん、大丈夫だってば」
「そっかぁ…良かった…」
本当にほっとしたようで、胸を撫で下ろしている。
「ねぇ、クロウリーは?
目を覚ました?」
「まだ…眠ったままよ」
「他に、何か変わった事はあった?」
「う〜ん…あ、マリとミランダが、少し良い雰囲気になった、とか」
「え!?嘘!!
あぁ、でも、お似合いかも」
「応援してあげましょ?」
「うん。
…そういえば、リナリー、髪伸びた?」
「え?そうかな?」
「うん、ほら、下の方が長いじゃん!」
先程自分が使った鏡を渡す。
「あー…分からないわ。
毎日見てるからかしら」
「半月ですごく伸びたって事だよ。
リナリーエロいんだぁ〜?」
「ちょっ…そんな事無い!」
「そぉ?
髪が伸びやすい人って、そうじゃないんだっけ?」
「じゃあ、…そっちもじゃない?」
「あ…確かに」
クスクスと二人で笑い合う。
コムイさんが戻って来たら、一緒に医者と看護婦も入って来て、一般病室への大移動が始まった。
私はただ見てるだけで、移動も車椅子で楽な思いをしていたが。
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