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双子の姉妹がいた。


片方は生まれてすぐに牢屋に入り、もう片方は普通の子として育てられた。

牢屋に入った子はもう片方の存在を知っていたが、外にいる子はそれを知らなかった。


だがそれ故に両親の愛は牢屋の子へと傾き、外で育った子は愛に乏しかった。


何故こんな事になったのか―――それは、その家にまつわる伝説のせい。


『双子が生まれると、必ず片方が家を滅ぼす力を持つ』

牢屋に入れられた子は生まれた直後に力を持っていた。

両親はそれを恐れたが殺すことが出来ず、結局牢屋に入れるという中途半端な決断を下した。


その子達が10歳になる時、大いなる力を持って覚醒したのは、外で育った子だった。


『どちらが持つかは成長過程で決まる―――生まれてから、覆ることもある』

これが、両親と双子の兄の感じ取った事であった。


だが、真の真実がそれらの人に分かるわけがない。

唯一分かるのは、その身で体験した双子だけである。


何が起こったのか。
何が力の出る条件なのか。
そもそもの理由とは。


分かるのは、双子だけ…。


それでも、普通に育ち力を覚醒させ、その身を滅ぼした子が語ったことも事実ではない。

『全ては家系の安泰のため。
力を覚醒した子は殺されるために生まれ、片方の子がそれを殺して。
霊力の衰弱を防ぐ』

この考察は間違い。


では、何が正解か。


今になって分かるのは、牢屋で育ち生き残った片割れだけ。


気を研ぎ澄まして、記憶を辿ってご覧?

きっと見えてくる…。



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