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レベル4はとても楽しみながら飛んで行った。
それもとんでもなく早いので、私との距離は開くばかり。
そして、さっきは室長達と一緒にいなかったリナリーに、襲い掛かった。
私は高みの見物を決め込み、上空の影に隠れる。
暫くお兄ちゃんのお迎えを待たなきゃいけないし。
…一体何してるんだろ…。
だから、それまでは赤子を楽しませておこうかなと思って。
…って、赤ん坊を見守る目って、こんな感じ!?
…ちょっと違うか。
そうやってレベル4を見守っていると、倒れているはずのアレンが来たではないか!
「あの状態から…!?」
アレンはレベル4と同等の戦闘力を見せるが、それでもやはり力の差は明らか。
途中からはラビとユウも混じるが、結果は変わらず。
だが…。
「リナリー…!?」
手に持っていたイノセンスが液体と化し、リナリーがそれを飲み込んだ。
すると、足首から流れた血が結晶となり、…シンクロした。
以前とは比べものにならない程のスピード、俊敏性、瞬発力。
アレンと組んでアクマと戦えば、形勢が逆転しかけている。
「…ヤバいかも」
レベル4のもとに駆け付けようとしたら、壁を崩して現れた誰かによって行く手を塞がれた。
「…また、あなたですか」
「嫌そうな顔するなよ、運命じゃないんか?」
…クロス元帥だった。
「チッ…あんのビールっ腹野郎が。
サンプルにしてやらぁ」
早く逃がさないと!
元帥を避け、すぐさまアクマの元に近寄る。
「一旦引くぞ!!
もう充分楽しんだでしょ!?」
「なんで?
ぜったいぼくがかつ!」
…ダメだ、自分を過信しすぎてる。
引く事も大切だって事を知らないんだ。
「…っ、まったく…」
「お困りのようだね?」
…………。
「隼人お兄ちゃん!!」
「あちゃ、もう間に合わないかな」
「え?
…あっ!」
はあぁぁあああっ!とリナリーがアレンの剣の上に思い切り飛び降り、その重さでアクマを突き刺しているアレンの大剣が更に深く突き刺さる。
もう一度舞い上がったリナリーの渾身の一撃で、アクマは動かなくなった。
…と思ったが。
「まだ…まだぁ…っ」
もう一度立ち上がり、戦おうとするレベル4。
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