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まず、私を捕らえて龍の幻から落としたのはマリ。
地面に落ちた私の目の前で武器を構えたのはまたもやクロス元帥。

「俺らの事を忘れてもらっちゃあ困るなぁ?」

「退け!」

俯せで落ちた私は背中を踏まれる格好となり、身動きできない。

「幻…を…」

唱えようとしたが、口を封じられる。

「その前に聞いてはくれねぇか?
お前はノアのメモリーのせいで、教団を敵に回しても別に平気で居られるんだな?」

いや、答えたくても封じられちゃあ…。
あ、離してくれた。

「…別に何とも思わない」

クロス元帥の向こうに見えるマリが悲しそうな顔をしていた。
そんな彼に向かって不敵に笑って見せる。

「それに、そんな顔しても何とも思わない」

顔をふいっと他の方向に向けたマリ。

「で?
結局、今日のお前らの目的は何だったんだ?」

「知ってどうするの?
見ての通りだけど。
卵の奪回と、アレンの連行。
隼人お兄ちゃんは私達のアシスト」

「ほう?
意外と素直だ。
今まで教団内で会った時は奥手な子だと思ってたのに、今日は生意気だからどうかしたかと思った。
それに、ドレスがよく似合ってる」

はあ?

「結局、あなたは何が知りたいんだか分からないですよ…。
幻で…」

早くこの状況から逃げ出したいのに、幻を使おうとすると口を塞がれる。
それに、逃げ出すのに良い方法が思い付かない…。

こういう時、私のような特殊能力より物理攻撃の方が簡単で良いな、と思う。

「伯爵は何を考えているんだろうな。
奈穂を信用しているのか、試しているだけなのか」

試す…?

「もしお前が裏切っても、自分部屋でとぐろ巻いてりゃ安全だからな」

つまり、私がエクソシストに戻るかと疑っている…?

「…私は千年公を裏切らない!
千年公も、私を信用してくださってここに遣わしたの!」

そうよ、絶対。

「水!
強力な流れ!」

早口で単語を言うと、どこからか大量の水が現れ、私達を押し流す。
ずぶ濡れになってしまったが、これが最善の策だろう。
クロスを攻撃しても、どうなるかは未知数だったし。

…一発逆転、体勢を立て直そう。



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