3 その後、私に与えられた部屋に案内された。 シャワーを浴び、横になる。 明かりを消すと、真っ暗になった初めての部屋に少しだけ恐怖心を覚える。 …早く、朝になって…。 ノアとして覚醒して初めて自分のいるべき所で休んだはずのに、緊張の為かよく眠れなかった。 「奈穂、おっはよう!」 「…隼人お兄ちゃん」 扉を思い切り開いて入って来たのは、紛れも無くお兄ちゃんだった。 「ん? 何か変な顔。 心配事とかあったら、いつでも言ってね」 「あの…さ、新しい方舟って、外界には通じてないの?」 「方舟なんだから、何処にでも繋げるよ? それがどうかした?」 お兄ちゃんったら、本当に心配そうな顔をしてる。 そんなに深刻な悩みでもないのに。 「ううん、何でもないよ。 ただ、外の空気も吸いたいな、って思って。 ほら、ここって窓1つ無いじゃない」 「それもそうだな…。 よし、じゃあ朝食は外で食べても良いか、千年公に聞きに行ってみよう!」 意気揚々と私の手を引いて走り出すお兄ちゃん。 なんか、幼子のようだというか、昔に戻ったみたい。 檻の中で、私と遊んでくれた時みたいに…。 千年公に聞いた結果はもちろんNOだったが、朝食までの空き時間内での外出を勧められた。 「オススメの場所がありマスv 初めての場所で気が滅入っているなら、そこで休むといいでしょうv」 朝食には遅れずに、と見送られた。 「食事の時だけは、皆が集まるだろ? だからその時間が千年公自身は好きで、大切にしているんだ。 大事な大事な、『家族』だからな」 家族、か…。 そして私達は、勧められた場所へ続いている扉を開いた。 . [*前へ][次へ#] |