小部屋。(短編)
想い。
いつもの週末。
2人で過ごす穏やかな日々。
行事づくめで忙しい学校生活に疲れきったのか、和紗はかなり眠そうだ。
「和紗、寝ても…いいよ?」
「どゆ事?」
怪しげな笑みと共に指先がそっと、膝に触れる。
「っ違くて!」
その腕をやんわりと掴むと、怪訝そうな顔をする。
「…疲れてるんだろ?だから、ちょっとくらい昼寝でもしたら、どう…かなぁ…って…」
「でも、せっかく有理と居るのに、勿体無い。」
「なくない!ちゃんと、休めっ!」
じゃあ。
と言うから、ベットにでも行くのだと思っていたら、その場で横になり、俺の膝に頭を乗せる。
「なっ…何っして…」
「膝枕。」
和紗は何事もないかのように言いのけて、目を閉じてしまった。
…どうすればいいんだろう?
何かする事も思いつかず、端整な横顔を見つめてみる。
女の子みたい。と言われる俺の顔と違って、和紗の顔は男らしくて、でも、すごく綺麗だ。
見惚れていると、恥ずかしくなるくらいに。
俺と和紗は、身体の何もかもが対照的だと思う。
これは、足りないものを補っているってこと?
俺には、そんな気はない。
ただ、和紗が愛しいだけ。
"身体"じゃなくて、"心"が、そうなんだ。
和紗だから、触れるとドキドキする。
和紗だから、抱き締められると嬉しい。
和紗だから…一緒にいて欲しい…
あまりに静かな室内で、聞こえるのは吐息の律音だけ。
少しだけ疼く膝。
まだ、寝ててね…和紗…
◇ひとだんらく◇
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