小部屋。(短編)
うたたね。
とある金曜日。
退屈で長い一週間も終わり、学校帰りの人もまばらな電車内。
「も、寝る。」
和紗は、ポツ、と呟いて、目蓋を閉じた。
その隣で、有理がケータイ片手に空返事をする。
暫くして左肩に重みを感じた。
ふと見ると、和紗の柔らかな髪がすぐ近くにあって、規則的な吐息が聞こえる。
有理は、かぁぁっと赤くなるのに気づいて、ケータイの画面に視線を戻す。
何をするでもなく、ピッピッとボタンを押してみるけれど、体の全意識が左側に集中してしまう。
触れている部分が異様に熱い。
何となく、肩にもたれ掛かっている頭に自分の頭を寄せると、速くなりかけていた心音が落ち着いた。
そして、そのまま有理も睡魔に引きずりこまれたのだった。
◇ひとだんらく◇
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