〜chocolatre〜 1 「ハイッ!祐輔の負け〜!」 景一が高らかに告げる。 今日は、景一達と友人宅にいた。 「じゃあ、俺達は廊下で待ってるから」 と言って、友人から“服”を渡された。 「…なぁ、本気なのか…?」 「当たり前だろ〜」 景一達が部屋を出ていった。 (……) 友人から渡された“服”を手に立ち尽くす。 「早くしろよ〜!」 ドアの向こうから催促の声がする。 (あ゛ー!もう!) 意を決して、着替えを始めた。 「どうだ〜?着替えたか〜?」 「…あ、ああ…。着替えたけど…」 何とか勘で着替えを終える。 「入るぞ〜!」 ガチャ ドアが開く。景一達が部屋に戻ってくる。 「おぉ!カワイイじゃん!“祐子ちゃん”?」 「“祐子ちゃん”?!オレは祐輔だ!」 「まぁまぁ、落ち着いて祐子ちゃん」 真っ白なワンピース姿のオレを景一達が囃し立てる。 オレは今、友人の姉の着なくなったというワンピースに身を包んでいた。 ノリのイイ人で進んで提供してくれたらしい。 「ハイ、コレ」 友人からウィッグを渡される。 「…コレも被るのか…?」 「髪、長い方がもっと可愛くなるぜ?」 「…別になりたくねぇよ…」 「イイから被ってろ」 ウィッグを取られカポッと頭に被せられる。 「似合ってるよ、祐子ちゃん、ちゃんと女子に見えるぜ」 「うるせえよ!」 ババ抜きに負けた罰でこんな目に合っていた。しかも、罰ゲームはコレで終わりではない。 「…なぁ、本当に行かなきゃダメか…?」 「今更、何言ってんだよ?ココからが“本番”だろ?」 「そうそう、俺、コーラ」 そう、この罰ゲームの内容は“女装でおつかい”なのだ。 「…もう、イイだろう、止めようぜ?」 「負けたのはお前だろう?」 「諦めろ」 景一にポンポンと肩を叩かれた。 「…う…」 がっくりと皆の注文を取ると、しぶしぶ友人宅を出た。 [次へ#] [戻る] |