〜chocolatre〜
5
翌日―――。
昨日はあれから一日中、気になって、どうしても、会いたくなって、二年の下駄箱へ向かった。
昨日の先輩を探す。
皆、何気ない風を装って、こちらを、チラチラと見ている。
“女の子だと思ったら男子だった”という目。
こんな視線は気にならない。キョロキョロと探す。
(いた!)
目が合った。
近付いて行った。
「あの…先輩…」
思いきって、先輩に声を掛けると、驚いた表情が浮かんだ。が、覚えていてくれたのか、
「ああ、昨日の」
と、応えてくれた。
「あの…、昨日はありがとうございました」
「え?何が?」
(まずは、名前を訊こう)
「あの…、名前教えてくれませんか?」
名を問う。
「あ?オレ?江井祐輔だけど」
「江井先輩…」
確認するように呟く。
(自己紹介しなきゃ)
「俺、小室未来っていいます」
と、名乗る。
それだけじゃ足りない。
(連絡先が知りたい。話したい)
「よかったら、メアドとか教えてくれませんか?」
「え?何で?」
「ダメですか?」
自分より背の高い先輩を下から見上げ、必死に頼む。
「……いや、イイけど」
「本当ですか!?」
「あ、…うん」
「ありがとうございますっ!時々、メールしてもいいですか?」
「あ…うん…」
「ありがとうございました!それじゃ!」
礼を言って、その場をあとにした。
メアドの交換が出来た。
繋がりが出来た。
キッカケが出来た。
嬉しい―――。
(何だかわからないけど、ドキドキする)
先輩のメアドが登録された携帯を握り締めた―――。
[*前へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!