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〜chocolatre〜
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翌日―――。
昨日はあれから一日中、気になって、どうしても、会いたくなって、二年の下駄箱へ向かった。
昨日の先輩を探す。
皆、何気ない風を装って、こちらを、チラチラと見ている。
“女の子だと思ったら男子だった”という目。
こんな視線は気にならない。キョロキョロと探す。

(いた!)

目が合った。
近付いて行った。

「あの…先輩…」

思いきって、先輩に声を掛けると、驚いた表情が浮かんだ。が、覚えていてくれたのか、

「ああ、昨日の」

と、応えてくれた。

「あの…、昨日はありがとうございました」

「え?何が?」

(まずは、名前を訊こう)

「あの…、名前教えてくれませんか?」

名を問う。

「あ?オレ?江井祐輔だけど」

「江井先輩…」

確認するように呟く。

(自己紹介しなきゃ)

「俺、小室未来っていいます」

と、名乗る。
それだけじゃ足りない。

(連絡先が知りたい。話したい)

「よかったら、メアドとか教えてくれませんか?」

「え?何で?」

「ダメですか?」

自分より背の高い先輩を下から見上げ、必死に頼む。

「……いや、イイけど」

「本当ですか!?」

「あ、…うん」

「ありがとうございますっ!時々、メールしてもいいですか?」

「あ…うん…」

「ありがとうございました!それじゃ!」

礼を言って、その場をあとにした。

メアドの交換が出来た。
繋がりが出来た。
キッカケが出来た。
嬉しい―――。

(何だかわからないけど、ドキドキする)

先輩のメアドが登録された携帯を握り締めた―――。

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あきゅろす。
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