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〜chocolatre〜
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最初にオカシイと感じたのは、堂本といる時だった―――。

一階から二階の踊り場まで来たところで、下りてくる人影に気付いた。

―――堂本か…。
確か、三年だ。二年の江井を背負っている。
生徒の中でも、相田共に、教師たちの中でも、一際、目立つ厄介な生徒だ。

(おや…?)

―――この香り…。

前に嗅いだコトのある種類の香りだ。

思わず、すれ違い、数段降りた時、堂本を呼び止めた。

「堂本君?その子、どうしたの?」

見るからに“何か”ある状況で、教師から声を掛けられる事などないのだろう。まして、“見るからに被害者”を連れている場合など―――。
驚いた表情で立ち止まっている。

「二年の江井君だよね?」

「…貧血起こしたらしいんで、保健室に」

「そう、偉いね」

―――貧血、ね…。

背中の祐輔が、ずり落ちそうになったようだ。軽く、身体を揺すり、背負い直すと、

「じゃあ…」

「ああ、ゴメン、ゴメン。早く、連れていってあげて」

「それじゃ…」

堂本は振り返る事なく、階段を降りて行った。


二人を見送り、

「さよなら…」

そう、言って思わず口元に、微笑が浮かんだ…。

(どちらの香りかな―――?)

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