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〜hot chocolate〜
15
「祐輔、久々にどっか、行かねー?」

どんよりと帰り支度をしていた時、景一が声をかけてきた。
案の定、教師からネクタイについてツッコまれた。
が、何とか一日を乗りきった(ちょっと、イヤな感じの筋肉痛のせいで体育は辛かったが)。

「腹、減ったし、何か食おうぜ。茶、ぐらいなら奢ってやるぞ」

景一に誘われるのも久々だが、お茶とはいえ『奢る』だなんて珍しい。

「…どうしたんだよ」

「いや、久々に、色々さぁ、話とか…」

腹も減っているし、何より、そっちの方が楽しいに決まっている。このまま、景一の誘いに乗ってしまいたい。

だけど―――。

「あー、悪い。今日は、ちょっとさ…」

「…なんだよ、なんかあるのか?」

「ちょっと、な…。だいたい、そっちはいいのか?彼女、放っといて」

すると、急に、決まりの悪そうな表情をして、言った。

「悪かったよ…。確かに、なんか、最近、付き合い悪かったかと思ってさ…。だからさ…、色々、話したい事もあるし、久々にさぁ…」

と、モソモソと言う。
彼女が出来てからの景一に、拗ね、皮肉を言っているのだととったらしい。

「あー、そういう、意味じゃねぇよ。今日は本当に―――」

言いかけた時、景一の携帯が鳴った。
景一の好きなアーティストのラブソングだ。

―――ベタなヤツ…。

「彼女から、なんじゃねぇ?」

「ああ…。でも、お前、最近…」

「本当に、今日は用があるんだよ」

景一を遮り、断ると、一度切れた曲が、また流れ始める。

「だから、また今度な。ほら、早く出てやれよ」

「そうか…。じゃあ…」

景一が電話に出る。が、チラチラとこちらを気にしている。
大袈裟に追い払う仕草をしてやると、片手を挙げて、詫びを入れ、話しながら教室を出て行った。

それを見送ってから、出来るなら、したくはない連絡の為、カバンから携帯を取り出す。
と、今度は、祐輔の携帯がメールの着信を告げた。
マナーモードを解除していないから、設定していた画面が表示されるだけで、音は鳴らない。

堂本だ―――。
メールを開く。

『屋上に来い』

―――次から次に…。

返信する。

『すみませんが、今日は用事がありまして、行けません』

送信完了の画面が表示され携帯を閉じようとした。と、画面が電話の着信のソレに切り替わった。
画面には、堂本の名―――。
ここで出なければ、捕まえにくるんだろうか…。

「は、はい…」

と、電話に出た、と応えるたったそれだけを言うか言わないか、で低い声がした。

『用、って何だ』

「いえ、その、家の用事がありまして…、は、母にすぐに帰るように言われてまして…」

かなり、しどろもどろで怪しさ満点。だが。

『…わかった』

そう言うとあっさり切れた。

―――良かった…。
やっぱり、理由を付けて断われば、誤魔化せるもんなんだな。

しかし、これで終わりではない。

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あきゅろす。
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