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〜hot chocolate〜
19.
「それじゃ、またね」

「あぁ」

堂本を家の近くへ送り、車は去って行った。
テールランプを見送り、
『“次”は、ねぇな』
と思った。

今までも、流れで、ヤリ始めたもののその気になりきれなかった事は、確かにあった。
だが、ヤル気で始めて、勃たなかった事などなかった。

―――クソっ!何なんだ…。

勃つどころか、気分が悪くすらなった。

憂さ晴らしのはずが、ただ認めたくないモノを見る羽目になっただけだ。
―――いや、そんなはずはない。

苛立ちは最高潮に達している。

―――あんな野郎のせいで。

そこで、気付いた―――。

そうだ、アイツが悪い。

ムカつくなら、気が済むまで、ぶつければいい。
気になるなら、飽きるまで、貪り尽くせばいい。

そう決めてしまうと、それまでの苛立ちがすうっと消えた。
変わりに、沸き上がったのは、欲望に満ちた昂り。

―――さあ、どうしてくれようか。



目が覚めると、既に、日が高くなっていた。
学校に着くと、屋上へ向かった。
午後の授業が始まっている。
ドアの横の、壁に寄りかかって座って携帯を取り出す。

メールを送った。

祐輔が気を失ってる間に、携帯番号とアドレスを登録しておいたのだ。

よく晴れて、吹く風が気持ち良い。

チャイムが聞こえる。
あと一時間くらいか…。



いつの間にか、眠ってしまったらしい。
グラウンドでは、部活動が始まっている。
部活に励む生徒達の声がする。その声に目を覚ました。
携帯を取り出し、時間を見ると、下校時間が近くなっていた。

そこで、思い至った。

祐輔は、来ていない―――。

ドアが開けば気付かないはずがない。

メールも着信もない。

すっぽかされた―――。

「ハッ…」

すっぽかされるなどあり得ない。

「あの野郎…」

―――イイ根性してやがる。

「…面白れぇ」

祐輔が見れば、行かなかった事を激しく後悔するような、女子達ならば、歓声をあげるような、笑みを浮かべ、堂本は独りごちた。

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あきゅろす。
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