〜hot chocolate〜
18.
祐輔を保健室に置いて―――。
堂本は、携帯を開き、メールを確認した。
数件メールが届いていた。その中から、女からの、一番、新しく届いているモノを選び、返信した。
―――イライラする…。
確かめるだけ、のつもりだった。
それが、男相手に何を…。
アナルセックスなら、経験は、あった。ソレ自体に抵抗はない。
が、対象は決して男ではない。そもそも、野郎相手に、勃たない。
それが―――。
しかも、未だ治まらない。
門を出たところで、携帯が、着信を告げた。
先程、連絡した女だ。
車で拾いに来る、と言ってきたので、そのまま門で待つ。
しばらくして、現れた顔を見ても、いつ何処で、会ったのか思い出せなかったが、そんな事はどうでも良かった。
「待った?」
「いや…」
助手席に乗り込む。
「どうする?何か、食べる?」
滑らかに車が動き出した。
歳は、十は上だろうか…。大人の色香を漂わせている。短いやりとりで、割り切った関係を向こうも望んでの事だと伝わってくる。顔もスタイルも、上クラス。身なりや持ち物から金回りも良さそうだ。
ホテルの部屋に入るなり、ベッドに雪崩れ込み、身体を弄る。
「…あぁん…」
嬌声が漏れる。
―――またか…。
女の匂いがする。
女が盛り上がれば、盛り上がる程、強くなるソレに、冷めていく。
―――勃たねぇ…。
耐えきれず身体を離した。
「…シャワー浴びてこい」
「あら、一緒に入る?」
「…後でいい」
バスルームに消えたのを見て、一人、ベッドに腰掛けて考える。
自分のアドレスを知ってるからには、一度はヤってるのだろう。その時は問題なかったはずだ。
―――何なんだよ…!
いつの間にか、バスルームから戻り、バスローブを纏った女が、擦り寄ってきた。アメニティのシャンプーだか石鹸の匂いがする。
―――これなら、イケるか…。
押し倒すと、バスローブの中身に手を這わせた。
女の体温が上がる。そしてまた、気になりだす。
好ましかったソレが、今は不快でしかない。
思い出してしまう―――。あの、甘く、芳しく、身体の奥の何かを揺さぶる匂いを…。
それも、以前のように、転換する事が出来ない。
「…ちっ…」
身体を起こした。
「…どうしたの?」
「あぁ…」
堂本の様子に、察したのか、
「残念ね」
身体を起こすと、あっさり、身支度を始めた。
「じゃあ、食事に付き合って」
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