〜hot chocolate〜
16.
家に帰ると、部屋に籠った。カバンを床に投げ、ベッドに倒れ込んだ。
―――チクショウ…。チクショウ!
あれだけ、決心したのに、いざとなると、あっさり折れてしまった。
その結果が、コレだ。
―――自分に腹が立つ。
咥えさせられ、イかされた挙げ句、ツッコまれてしまった。
情けなさ過ぎて、泣くに泣けない。
―――怖かったからだ。死にたくないと思うのは、本能だ。咥えたくて咥えたんじゃないし、ヤラれたくてヤラれたわけじゃない。
イってしまったのだって…あんなの、ただの、反射だ。意思なんて関係ない。
だから…。だから……。
ドア越しに、母親の、夕食が出来た事を告げる声がした。
―――もう、そんな時間…。
夕食の知らせに、腹が空いていたのを思い出した。
今度は、ドアが開く音がした。廊下からの光が差し、すっかり暗くなっていた事に気付いた。
「寝てるの?」
むくりと起き上がると
「いや、起きてる…」
と返した。
「あら、電気も点けないで、どうしたの?」
母親が、ドアのすぐ横のスイッチを押し、明るくなる。
「ちょっと、寝てた…」
「あ、そう。ご飯よ、早く、いらっしゃい」
「あー…、今、行く…」
リビングへ戻りかけた母親が、
「そうそう、お弁当箱。ついでに、持って来なさいよ」
と言って去って行った。
「あー…」
ベッドから、降りる。
腰が重い―――。
床に投げたままになっていたカバンを拾い上げ、机に乗せる。
学校から帰ったら、台所に出して置くようにいつも言われていた。
―――この間も、忘れた。
カバンを開ける。
と、中にコーラが入っていた。
―――な…っ!コレ…。
一気に、食欲が失せた。
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