〜hot chocolate〜
6.
家に帰ると、洗面所に直行し、念入りに何度も歯を磨いた。
それから、部屋に戻り、着替えを済ませ、ベッドに潜り込んだ。
布団を被り、丸まって、ぎゅうっと目を瞑った。
母親が、夕食を知らせに来たが、返事をする気も起きなかった。
反応がないのを訝しく思ったのか、
「あら、寝てるの?」
ドアの開く音がして、先程より声が大きく聞こえる。
眠っているわけではなかったが、ただ応えるのが億劫で、無視した。
「……」
眠っていると判断したのだろう、
「ご飯も食べないで寝てるなんて…、珍しいコトもあるもんね〜」
と独り言を呟きながら、ドアを閉める音がした。
翌朝。
学校に行きたくなくて、ベッドの中でぐずぐずしていると、母親がやってきた。
「いつまで寝てるの」
昨夜と違って、今朝はそっとしておいてはくれないようだ。中へ入ってきた。
「…今日、休みたい…」
と、言ってみたが、手のひらを額にあて、熱がないことを確認すると、
「ダラダラしない!」
とベッドから、剥がされた。
「早く、ご飯食べちゃって」
と部屋を出かけたが、
「それから、昨日、お弁当箱、出してないでしょう。帰ったら、ちゃんと出しないっていつも、言ってるでしょう」
そう言って出ていった。
渋々、支度をして、朝食を済ませると、重い足を引き摺って、学校へ向かった。
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