〜hot chocolate〜
20
キーンコーンカーンコーン
チャイムと共に戸が開いた。
「キャ―――!」
堂本の登場に、女子の歓声が響き渡る。
怯えた男子が教室の隅に固まる。
「早く、しろ」
「は、はい」
慌てて帰り支度をする。
前の席の景一が心配気にこちらを見ている。
(この間と、同じだな)
支度を終え、
「大丈夫だよ、じゃあな」
と、景一に別れを告げ、堂本と教室を出た。
「あの…、どこ行くんですか…?」
10分程、ズンズン先を行く、堂本の跡をついていく。耐えきれず行き先を尋ねると、堂本がピタリと止まった。
「俺ん家だ。着いたぞ」
目の前には超高層マンションが聳え建っていた。
「え?家ですか?もっと別の場所に行きませ…、うわっ!」
「行くぞ」
堂本に手首を掴まれ、グイッと引かれ、セキュリティを解除しながらマンションへ入っていく。
「ちょっ…!先輩!待っ…!」
エントランスを抜け、エレベーターホールへ入ると、ちょうど一基、一階に止まっていた。堂本に引かれてエレベーターに乗る。堂本は“上”を押し、中に乗り込むと慣れた様子で、最上階のボタンを押した。
(最上階かよ…)
あっという間に最上階へ着く。そのままズルズルと、ドアの前まで連れて来られた。
「ここだ」
ガチャリと鍵が開き、ドアが開いた。
「入れ」
そう言われ、中に引っ張られた。
広い玄関に真っ赤なハイヒールが一足揃えてあった。
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