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〜hot chocolate〜
19
次は職員室へ向かった。ガラッ!と扉を開けると、室内の空気が凍りついた。

「ねえ」

一番、間近にいたゴリ田を捕まえた。

「や、やあ!相田君、どうしたのかな?」

ゴリ田が固まる。

「視聴覚室の鍵、ちょうだい」

「し、視聴覚室の鍵?な、何に使うのかな?」

「…とっとと、鍵を寄越せ…」

ワントーン、声を落とす。すると、ゴリ田はアワアワと慌てて、教師と夜間警備員しか使えない、鍵の掛かった壁に貼り付いた、各教室の鍵を保管してある小さなロッカーへ走っていった。が、中を開けると、更に慌てた様子で、近くにいた教師を捕まえては何事か尋ねている。それを周りの何人かへ繰り返すと、泣き出しそうな表情で、戻ってきた。

「し、視聴覚室の鍵は、白浜先生が持っていったんだって…」

「スペアがあるでしょ?」

トーンを落としたまま告げる。

「そ、それが、他の先生方に訊いてみたら、スペアも持っていったって…」

(使えない!)

もう、用はない。苛立ちに、力任せにガンッと音を立て扉を閉め、職員室を跡にした。

階段を駆け上がり、廊下を駆け抜け、視聴覚室へ辿り着いた。ドアノブに手をかけたが、開かない。

(やはり、何かある)

一人より二人の方がいい、と堂本を待とうと思った。が、視聴覚室のドアは密閉度が高く頑丈で破壊し辛いとわかっていても、動かずにはいられなかった。聞こえないとわかっていても、怒鳴り、ドアを蹴破ろうと、蹴りを入れる。けれど、ビクともしない。

「白浜!開けろ!」

「穂積!」

堂本が、やってきた。走って来たとしても、家から来たにしては早いなと、思った。

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