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〜hot chocolate〜
10
相田は、祐輔から教えられたアドレスへ、試しにメールを送ってみた。すると、すぐに写メが返ってきた。
どの角度が、どの表情が、自分を一番可愛く見せるか、知り尽くした写メだ。一番自信のある一枚なのだろう。
だからといって、祐輔が言う程、可愛いとは思えなかったが、翌日、会うことになった。
―――いつも通り、家に誘った。

「二年一組の出野安寿子って言います〜、“安寿子”か“やっちゃん”て呼んで下さいね」

と少女は、家に上がり込むとすぐに、スリ寄って来た。
睦言を口にする気にもなれず、いつものように、とりあえずキスをした。少女も当然のようにそれを受けた。
が、少女の唇は、ぐにゃぐにゃヌメヌメとしていて気持ちが悪かった。

(なんだ、コレ)

抱き締めた身体も、ふにゃふにゃと気持ち悪く感じられた。

(ゆっぴょんとのキスの方が気持ち良くて、抱き心地がイイな…)

祐輔の柔らかな唇と、しなやかな身体が思い出され、先を続ける気になれず、身体を離した。
少女はトロンとした目をしていたが、これ以上先を続ける気もなかったし、一緒にいる気にもなれなかった。
何より、少女の纏う香水や化粧品の匂いが、鼻に付く。

「ごめん、帰ってくれる?」

「…え、でも……」

まだこれからなのに、と言いたげな表情でこちらを見てくる。
誘う、その、視線すら気持ちが悪い。
もう一度、相田には珍しくきつめに繰り返した。

「ごめん、帰って?」



翌日、学校に行ってみると、自分を捜していたらしい昨日の少女に遭遇した。

「センパイ!」

教室へ入ろうとしたところで捕まり、すぐに相田の腕を取り、ぐにゃりと絡み付いてきた。
昨日会ったばかりなのに、一瞬、直ぐに名前が出ずに、フリーズしてしまった。女の子の名前が直ぐに出ないなんて、今まで、そんな事はなかったのに―――。それでも、何とか思い出した。

「…なに?安寿子ちゃん?」

「昨日は、どうしたんですか?今日、また、行ってもイイデスカ?」

そういえば、追い返した後も、何通かメールが来ていたが、よく見もせず、削除し、返事も送っていなかった。

「ごめんね、その気ないや〜」

と、心の中で、二度と関わらないと決め、安寿子の腕を振りほどいた。

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