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和歌集
私と如何(毒舌ビッチ女城主、和歌山城)※言葉<身体の続き

城内の廊下。
自室へ戻る途中、すれ違い様にふと和歌山城から声をかけられ立ち止まった。


「私に夜伽をさせてくれないか」

「……………は?」


大奥作りた過ぎてついにおかしくなったのかなこいつ。
私が未だ理解できないという表情で見つめていると、それを汲み取ったかのようにつらつらと話し始める和歌山城。


「桜尾城とは既に幾度か寝たのだろう、話は聞いている。ああ安心してくれ、聞いたと言っても私と桜尾城の仲だけだ。もちろん姫の気が向いた時で良い、その時は声をかけてくれれば…」

「待て待てストップ和歌山城」


あのやろう桜尾城。他言無用と言っただろうが。
心の中で舌打ちをかまし、次会った時にどうしてくれようと思考を巡らすが、まずは目の前の関門を突破しなければ。


「あーー…桜尾城とはその、不可抗力というか…。そうするつもりでしたんじゃないっていうか…」

「姫の言うところのセフレだろう?」

「あ、あんた割りとハッキリ言うね。…まぁ、そんな感じだけど」


普段城娘たちとは下世話な話なんてしないもんだから、和歌山城からそんなフレーズが出てきたことに一瞬戸惑う。何なんだ、実は皆そういうことに興味津々なのか?…まぁ精神年齢的には私が下な場合が殆どだろうけど。
私よりも少し背が高い和歌山城は、私の顔を覗き込むようにジリジリと少しずつ間を詰めてくる。


「桜尾城だけでは飽いてしまうんじゃないか?」

「今のところは平気」

「何れは分からないと?」

「そんなん知らない」

「ふふ、可愛いな姫」


そんな押し問答を繰り返している内に、気付けばトンと背中に冷たさを感じる。いつの間にか壁まで退路を塞がれてしまっていた。
あ、ちょっと、やばいかも。
こいつは読心術を使えるのか、それとも私が単に分かりやすいだけなのか。にやりとわざとらしく口端を上げた和歌山城は、私の顔の横へ片手を置く。そしてもう片方の手がするりと私の襟元から中へ滑り込み…。

…おいちょっと待て、こいつこのままおっ始める気だぞ!?


「こらこらこら、私の意思を尊重するんじゃなかったっけ!?」

「まずはどれ程の腕かを見てもらわねば、と思ってね」

「とりあえず、今はっ!!ストップ!やめろ!!」


片胸を掴まれ本格的にまずいと悟った私は、和歌山城の腕を掴み決死の思いで叫んだ。するとぴたり、と和歌山城の動きが止まる。そして私の耳元で、小さくこう言った気がした。

今は、ね。

和歌山城は手慣れたように私の崩れた襟元を直すとサッと後ろへ一歩下がり、にこりと頬笑む。


「では大人しく、君からの誘いを待つとするよ。あまり焦らさないでくれ」


ぱちん、と軽くウインクしたのを最後にくるりと身体を反転し、和歌山城はまるで何事もなかったかのようにスタスタと行ってしまった。
……し、城娘こえぇ…。



…また向こうから突然襲われても困るので、せめて一晩だけは誘っておこう。



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