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僥倖 (高校生×社会人)
(高校生×社会人)





恋人の話をしよう。

恋人は18歳、6歳年下の高校生である。
友達には「援交だ」「悪い大人め」等と言われたりするが、俺自身はあまり年の差を感じた事はない。
それは、恋人が早く大人になろうと努力しているからだと思う。

とても大人びていて俺なんかよりも分別のあることを言ったりやったりしているが、稀に子供らしい我侭を言う。
その度に俺は、恋人の新しい一面を見たと思って密かに喜ぶのだ。
表に出すと嫌がられるから内緒だが、俺は彼をとても可愛く思っている。






………。
………あー。

面倒な仕事を持ち帰ることになったので、しばらく現実逃避をしてしまった。
くそ。ザックスの奴め、明日絶対シめてやる。

ため息を吐きながら、今日は会えないとスコールにメールを送った。
折角の週末、会う約束をしていたのに悪いことをしてしまった。
何より、自分がどんどん気落ちしていくことに驚いた。


仕事するならどこでも一緒だからと、いつもより早めに帰宅した。
マンションに着いたら部屋に明かりが付いていて、中には人の気配がする。
合鍵を持たせてるのなんて、一人しか居ない。『卒業したら一緒に住むんだろう』と言って、ついこの前やっと受け取ってもらった(押し付けた)ばかりなのだ。


「スコール?」


部屋に入ると、スコールがテーブルでノートとテキストを広げていた。
さすが受験生だ。自分の時はこんなにやってないぞ、などと関係ない事が頭を過ぎる。


「お帰り」


何で居るんだろう、そんな俺の顔色を読み取ったのか、スコールは荷物を鞄にしまい始めた。


「これを届けに来ただけだ。あんたの顔、見れてよかった」


そう言ってスコールが差し出して来たのは、彼とよく行くカフェでテイクアウトしてきたらしいプリンだった。
俺の好きな。


「どうしたんだ、これ」
「学校の帰りに寄って来た」
「え、だってあんた、あそこ結構遠かったんじゃ…」


たいしたことはない、とスコールは言った。


「この前食べたいって言ってただろう。
今日は夜中まで仕事なら、甘いものがあれば少しは疲れが取れる」


あんた、俺が自分でも忘れてた戯言を覚えてたのか?

ヤバイ。
ああもうこいつは、何だってこんなに可愛いんだろう!



「じゃ。俺はこれで」


玄関に向かおうとしたスコールの腕を引っ張って、引き寄せて、衝動的に抱きついた。


「ク、クラウド!?」
「……学校帰りか?明日は休み?」
「あ、ああ…」
「スコール、やっぱり泊まってけ」
「え?仕事じゃ――」
「あんたが居れば、はかどる気がするんだ。
その…構えないが。それでも良ければ居てくれ」


スコールの身体が強張っている。
それはそうか、俺から抱きつくなんて滅多にないことだから。
俺の言葉にも相当動揺したようだ。
が、勤めて平静を装ってスコールは言った。


「…な、なんか、あんた、今日は我儘だな。
そうだ。愛してる、って言ってくれたら居てやってもいいが」


くそ。
コイツ、足元見たな。

顔を上げると、スコールのきれいな顔がある。
俺が絶対言わないだろうと思っているらしく、目がちょっと笑っている。

ふふん。そんなもので引き下がるぐらいなら、最初から引き止めてなんかいない。





「…愛してる、スコール」


もう一度抱きついて囁いたら、スコールの顔が沸騰した。

スゴイ。珍しい。茹でダコだ。
あーマジで可愛い。




これで仕事もすぐに終わりそうな気がした俺は、相当重症ってものだ。








fin.


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