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Please Please Me

 
 

「クラウド。…ボタン誰かにやるのか?」


放課後。
極力、極力、平静を装って、何気ない会話を装って。
訊いてみた。


「…ボタン?」
「いや、あの…第2ボタン」
「あー。……さぁ?」
「そうか」


くれ。
それを俺に、くれ!

なんて、言えるはずもない。


そもそも、ボタンを貰ったからって一体何だって言うんだ。
俺が本当に欲しいのは、ボタンなんかじゃない。
ボタンなんかじゃないんだ!
でも、せめて、あんたの心臓に1番近いそのボタンをこの手にしたい!

――なるほど、ようやく女子の気持ちが掴めた気がするぞ。そういう理由でボタンを欲しがるのか。

まぁ、そんなことはどうだっていい。



あー。
欲しい、欲しい、欲しい。

近頃は、夢にまで見てしまうんだ。
それ位だ。
それ位、それ位、俺はあんたのボタンが欲しいんだ。
こうなったら、卒業のどさくさに紛れてこのボタンを引き千切ってしまおうか。
けれど、どんな『どさくさ』に紛れればいいんだ?そんなものあるか!
きっとあんたは、女子に揉みくちゃにされる前にさっさと逃げて姿を眩ましてしまうだろうし。


あぁ、
結局俺は、なにも出来ないまま卒業するのか。
まぁ、元々何か行動起こすつもりは無かった。
けれど、あんたの事が好きだった証のつもりで欲しかったんだ。
その、ボタン。


「スコールは誰か予約でもあるのか?」
「俺か?…ある訳ないだろう」


俺は人にやるよりあんたの物が貰いたいんだ。


「なんだ。そんな話題振ってくる所を見ると、誰かに欲しがられた自慢話かと思った」
「そんな訳あるか」


言われたことは言われたさ。何人にも。
でも、俺が欲しいのはあんたのだけなんだ。


「はぁー。なんか虚しい青春だな。
じゃ、見栄はって二人で取替えっこでもしておくか?」


くすり、と。
笑ったクラウドの向こうに、花畑が見えた。





Give me!!




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