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太陽と月

「ばあちゃん、今帰った。」
「おやおや、遅かったね、冬獅郎…おや、お客様かい?」

 小柄なお婆さんに一護たちは丁寧に頭を下げた。

「「お邪魔します。」」
「始めまして、オレ…いや私は黒崎一護といって、冬獅郎……と同じ様に真央霊術院の試験を受けた者です。」
「平たく言えば、友人だ。」
「そうかい、よく来てくれたね。」
「上がれよ。」

 冬獅郎は草履を脱ぎ、上に上がり、一護たちも上がった。

「ばあちゃん、頼みがあるんだ。」
「おやおや、どんな話かい?」
「こいつらを…正確にはこいつの妹をこの家に置いて欲しいんだ。」
「「えっ?」」
「おやまあ。」

 初耳の双子の姉妹と冬獅郎のお婆さんは驚き、冬獅郎と一護は心配になりはじめた。

「だめか?」
「わたしは構わないが、そこのお嬢さんらは……?」
「一姉っ!」
「お姉ちゃんっ!」

 一護に詰め寄る双子に一護は頬を掻く。

「オレは寮に入るから、お前らを放って置けない。」
「でもっ。」
「分かってくれ、オレたちは七十九番地区から来て、正直ここの人はあんなヤツラじゃないと思う、だけど、信用できる人に預けたいんだ。」
「……一姉。」
「……お姉ちゃん。」
「……一護、お前。」
「まぁ……。」

 一護の言葉に全員の目が一護に向けられた。

「冬獅郎、言っただろ、オレの事情がそれだ、オレらが着いた場所は七十九番でそこではオレが女だと知って襲ってきたヤツらが五萬といた。」
「それで、お姉ちゃんは男装するようになったの。」
「一姉は喧嘩が強かったから、何とかここまで生き延びたけど。」
「……それが、理由だったのか。」
「呆れるか?」
「まさか。」

 冬獅郎は首を横に振った。

「生きるためには色々な行動が必要になるだろう。」
「冬獅郎。」
「それが、お前にとっては男装だっただけだ。」

 自分の行動を理解してくれた冬獅郎に一護は不覚にも涙を零しそうになった。

「サンキュー。」
「別に礼を言われる程の事は言ってもないし、してもない。」
「……。」

 一護は冬獅郎の言動に救われた気がした。そして、そっと一筋の涙を零す。

「い、一護っ!」
「……悪い…ずっと、気を張ってたから……だから。」

 一度流れた涙は次々と零れ落ち、一護の頬を濡らした。

「………泣けよ。」

 冬獅郎はそっと自分の胸を一護に貸した。

「お前の気のすむまでさ。」

 冬獅郎と一護は気づいていない、自分たちを暖かな目で見つめている三対の目がある事を――。

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