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抗いし定め

「斬月。」
【何だ、一護。】
「久し振りだな。」
【うむ…、すまないな、もっと早く出てこられればお前の母は助かっただろうに。】
「いや、斬月が気にする事じゃない…オレはその時未熟だった。心も体もだから、多分、お袋は助からなかったさ。」

 一護は自分の実力をしっかりと理解していた。だから、たとえ、自分の力が戻っていたとしてもきっと母を助けられなかった事を悟っていた。

「過去はもう、諦めるしかないが…未来までを諦めるつもりじゃない。」
【一護。】
「オレはもう二度とあんな想いをしたくない。」
【相棒、そりゃ無茶じゃないか?】
「無茶でもやるんだよ破月。」
【まずは、朽木ルキアを守るのか?】
「……ああ、絶対にルキアの中にある崩玉を奪わせない、そして……あいつを、あんな野郎の刃で傷つけられる前に…何とかしたい。」
【あの小僧の事まだ諦めてねぇのかよ。】
「当たり前だ。」

 内なる声は鼻を鳴らし、一護は顔を顰めた。

「お前、何でそんなに冬獅郎を敵視するんだよ。」
【あの小僧はいけ好かないんだよ。】
「……斬月。」
【すまない、こやつは止められない。】
「……分かったよ。」

 一護は諦めたように溜息を吐いた。

「破月、お前が冬獅郎に手を出すのなら、オレは全力でお前を止める。」
【ちっ……分かったよ、手は出さない。】
「そうしてもらえると、助かる。」

 一護はそう言って、天を仰いだ。

「尸魂界は遠いな……。」

 相手は自分を知らない、それなのに、自分はこんなにも相手を欲している。それがとても愚かな事で、一護は自嘲する。

「護るからな……。」
【手を貸すぜ、相棒。】
【当然、力を貸す。】

 相棒たちの言葉に一護は薄っすらと微笑んだ。

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