抗いし定め 2 「よければ、妹達に記憶置換してくれないか?」 「……何故。」 「こいつらは無関係だ、オレ一人が背負えば良いから。」 「……。」 何か深い理由があるのだとルキアは悟り、ライターのような形をしたそれを取り出し、黒髪の少女、夏梨にそれを使い、続いて寝転んでいる男、一心、最後に一護が抱く茶色い髪の少女、遊子に記換神機を使った。 「サンキュウ、死神。」 「死神じゃない、朽木ルキアだ。」 「……。」 一護は一瞬痛みを堪えるようなそんな顔をしたが、すぐに、笑みを浮かべなおした。 「ああ、よろしくな、ルキア。」 「……。」 ルキアは何か言いたそうだが、一護はそれに気付いていないのか、それとも気付いていてワザと無視しているのか分からないが、取り敢えず、遊子の傷を鬼道で治し始めた。 「貴様、そこまで出来るのか…。」 「鬼道は苦手だけどな。」 苦笑を浮かべ、一護は時間をかけ、遊子の傷を治し、その間にルキアは夏梨と一心の傷を癒した。 「……そこまで出来れば、十分だろう。」 「オレはそうは思えない、自分の実力を決め付ければ、そこまでしか伸びないからな、オレは自分の限界を決めたくないんだ。」 「一護…。」 「ルキア、泊まる場所が決まっていなければオレの家に来ないか?出鱈目な理由をつければ大丈夫だ。」 「貴様…自分が言っている意味を理解しているのか?」 「ああ、監視として側にいれば良い、どうせ、お前はオレを危険分子として見ているだろう……。」 「まさかっ!」 ルキアは純粋に驚き、一護はそんなルキアを懐かしそうに目を眇めた。 「お前はそうじゃないかもしれないが、尸魂界は黙っていない、いや、四十六室が黙っていないだろう。」 「貴様…何処までこちらの事を知っているんだ。」 少々警戒するルキアに一護は寂しげな顔をした。 「知っている事は少ないさ……、まだまだ、知らない事が多かったからな……。」 まるで、過去を思い出すようなそんな顔にルキアは疑問を持つが、黙っていた。 「ルキア、よろしくな。」 「……よろしく。」 差し伸ばされた手にルキアは応じた、そして、不思議と彼女を守りたいと、そんな気持ちを抱いたのだった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |