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抗いし定め

「何か不思議な子でしたね。」

 乱菊はそう言いながら冬獅郎を見たら、彼は珍しく呆けていた。

「隊長?」
「……あっ…何か言ったか松本?」
「いえ、何も。」

 乱菊は物珍しそうに冬獅郎を見ているのだが、その視線にも冬獅郎は気づいていない。

「松本、あいつは……。」
「一護の事ですか?」
「ああ、あいつは……何者だろう。」
「さあ、でも、可愛らしい少年でしたね。」
「………。」

 乱菊の一言に冬獅郎は眉を寄せた。

「松本、あいつはーー。」

 冬獅郎が何かを言おうとした瞬間、十番隊の隊士が駈け込んで来た。

「日、日番谷隊長っ!」

 冬獅郎は自分の言葉を遮られ、少し機嫌を悪くさせるが、そんな様子を見せる事もなく、堂々とした隊長を演じる。

「どうした?」
「はい、それが…。」

 部下がもたらす報告に冬獅郎も乱菊も息をのんだ。
 そして、瀞霊廷を揺るがす事件の幕開けであり、一護が阻止したい事の始まりの一部の幕開けでもあった。
 そう、五番隊の隊長である藍染が何者かに殺されたのだった。

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