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抗いし定め

 席官や六番隊の副隊長が倒される報告を聞かされ、冬獅郎は一体何が起こっているのかと考え眉間に皺を寄せた。

「たーいちょう、そんな難しい顔しても答えなんて出ませんよ。」
「松本、てめぇはもっと難しく事を考えろ。」
「嫌ですよ、そんなの頭が痛くなります。」
「てめぇ。」

 冬獅郎は乱菊を睨むが、彼女は慣れているのか肩を竦める。

「あーあ、変わればいいのに。」
「何がだよ。」
「色々ですよ、ほら、この間重罪で捕まった十三番隊のあの子だってなんで、あんな場所に囚われないといけなんでしょうね。」
「重罪を犯したからだろう。」
「そうですけど、その理由も聞かずですよ。」
「まあ、確かに言い訳の一つくらい…。」
「でしょっ!」

 ずいっと近寄る乱菊に冬獅郎は顔を顰める。

「松本近いぞ。」
「何か、最近変ですよ。」
「……。」
「本当に変わればいいのに。」
「無理だろうな。」

 ポツリと冬獅郎が呟き、乱菊は眉を寄せる。

「そう簡単に人の考えなんて変わんねぇ。」
「隊長。」
「どうあがいても俺たちはただの駒なんだろうな。」
「……。」

 自嘲を浮かべる冬獅郎に乱菊は切に彼の考えを変える存在を求めた。

「松本、置いていくぞ。」
「待ってくださいよ〜。」

 乱菊たちが足を進めようとすると、近くで何かが落ちる音が聞こえた。
 二人は警戒して周りを見渡すとそこには血まみれの死神が一人いた。

「あんた大丈夫っ!」

 見覚えがなかったが、乱菊はそれを無視してその死神に近寄った。

「………。」

 血まみれの死神はゆっくりと顔を上げ、ある一点を見て固まり、そして、体が傾いだ。
 乱菊は慌てて死神を抱き留めた。

「松本、そいつを連れて帰るぞ。」
「はい。」

 神妙に頷く乱菊だったが、自隊の隊長が纏う空気に気づいていない。
 血まみれの死神が見ていたある一点、それは冬獅郎で、そして、死神の体が傾ぐ前にその死神は冬獅郎を見て微笑んだのだ。
 それはまるで太陽のように暖かな笑みだった。

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