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抗いし定め

「あっ、黒崎さん。」

 元気よく手を振る井上に一護は苦笑しながら手を振り返す。

「早いな。」
「そうかな?」
「君が遅いだけだ。」

 神経質な声に一護は溜息を零す。

「時間ぴったりに着ただけなのになんでんな事を言われなきゃならねぇんだよ。」
「一護、その格好で行くのか?」
「ああ。」

 チャドの言葉に一護は頷く。
 今彼女の姿はサラシを巻いているからか、胸が真平らで短い髪と口調が男っぽい所為で知らなければ男に思われるだろう。

「どうせ戦うんだ、あんなのあったら邪魔だろう。」
「「……。」」
「そっかー。」

 男性人は一護の言葉にお前には恥と言うものはないのかと言いたげな視線を投げかけ、井上は一護の言葉に何故か納得している。

「オレは井上みたいに言霊を使う訳じゃねぇし、それに目をつけられているからな。」

 ルキアを連れて行かれる際に、一護は六番隊の副隊長を倒し、隊長を退けてたのだ、それが報告に上がっていない訳がない。

「おお、揃っておるな。」
「皆さん準備はいいすっか?」

 中から出てきた猫と下駄帽子に一護は懐かしさを覚えるが、それを表に出す事はなかった。

「んじゃ、皆ルキアの救出に行くぜっ!」
「おーっ!」
「ああ。」
「ふん。」

 一護の言葉にそれぞれの言葉が返ってきた。

「それじゃ、勉強部屋に案内しましょう。」

 喜助が一護たちを中に通し、そして、地下にある勉強部屋に案内する。

「うわ〜、広い。」
「ム。」
「……なんか色々と常識がないような。」

 一護は三人の言葉を聞きながら、喜助が用意した穿界門を見た。
 今から彼女は尸魂界に行き、そして、旅禍と呼ばれ、多くの死神に会うだろう、出来れば最愛のあの人には全てが終わってから会いたいと一護はこっそりと思う。

「冬獅郎。」

 無意識に零れた声は近くに居た夜一にしか聞かれていなかった。

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