抗いし定め
5
喜助が穿界門を用意するまで一護は破月の協力を得て力を上げていた。
「サンキューな。」
【何だ、行き成り気持ち悪い。】
お礼を言う一護に対し破月は気味悪そうな顔をしている。
「……素直に礼を受けとりゃいいのに。」
一護は眉を寄せ、破月を睨む。
【しゃーねーだろう、てめぇが柄にも無い事をいうからだろうが。】
「……。」
確かに今まで素直に破月にだけは礼を言った事がないような気がしないわけではないが、それでも、感謝する時にはどんな奴にでもしてきたと考え、一護は破月を先ほどよりも強く睨み付けた。
【………なんで急に礼なんて言うんだよ。】
「お前が居なければ練習相手がいなかったからな。」
【そうかよ。】
「そうだ、だって、浦原さんと戦えば間違いなく命がけになるだろうし、後ついでに言えば、怪しまれるからな。」
【……。】
まるで消去法で自分しか残らなかったような言い方をする一護に破月は本気でこいつは礼を言っているのか怪しんだ。
「感謝くらいはするさ。」
【お前心を読むな。】
「読んでない、つーか、お前が顔に出しているのが悪い。」
破月の表情からそんなのを読みとめるのは長年一緒に居る一護と斬月くらいなのだが、一護はその事に気づいていない。
【明日の夜行くのか?】
「ああ、浦原さんから聞いたらそうだってさ。」
明日の夜、一護は尸魂界に乗り込む。
【足引っ張りそうな奴ら連れて行くなんててめぇは馬鹿か?】
「あいつらは仲間だ、昔も今もな。」
一護の言葉に破月は嘆息する。
「そんじゃ、オレは行くな。」
【ああ、何かあれば出てってやるよ。】
「無い事を祈りたいがな。」
一護は今の段階で虚化するのを避けたいと思ったが、それでも、この先自分が知っている通りに動く保障がないので、一護は祈る事しかできなかった。
祈りが聞き入れるかはこの時、誰にも知る事が出来なかった。
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