抗いし定め 4 「不思議な子じゃの。」 「おや、夜一さん。いらしてたんすか。」 「今更じゃの。」 「一体いつからですか?」 「あの娘子が来た時にはすでにおった。」 「そうっすか。」 夜一は先ほど立ち去った一護の事を考えた。 一護は夜一の存在に気づいていた。 入る前や帰る時、彼女は黙って夜一の居る方向に頭を下げたのだ。 「…さて、あのように面白い者は久方ぶりじゃ。」 「面白いですが…?どちらかといえば胡散臭いと申しますか…。」 「人の事は言えぬと思うのじゃが?」 「酷いっすね。」 「本当の事じゃろ。」 ばっさりと切り捨てる夜一に喜助は黙り込む。 「それにしても…。」 夜一はあの一護の目を思い出す。 あの目は生きる事を諦めた目。しかし、強い意志の篭った目をしていた。 「あの娘子は何者じゃろうな。」 まだまだ謎の残る一護に夜一は疑問を言の葉に乗せる。 「まあ、後に知る事にはなりそうじゃの。」 そう、いつか彼女たちは知る、一護の壮絶な一生を…。 [*前へ][次へ#] [戻る] |