抗いし定め
3
「おい、下駄帽子はいるか!」
一護は殴りこみのように浦原商店に向い、そして、出てきた喜助の胸倉を掴んだ。
「何すか、行き成り。」
「ルキアが連れて行かれた。」
「はて?」
「分かっているたんだろう、こうなる事をっ!」
「…………貴女だって分かっていたんじゃないっすか?」
「……。」
嫌な指摘に一護は顔を顰めた。
「おや、図星ですか。」
「……………穿界門を開いてくれ。」
「すぐには無理っすね。」
「分かっている、だけど、向こうに行くためにはあんたの協力が必要だからな。」
「………タダなんて都合の良い事を考えているんじゃないっすよね?」
一護は苦虫を噛み潰したような顔をする。
「何を支払って欲しいんだよ。」
「貴女の知っているモノを。」
「……。」
「貴女が何を考え、そして、行動するか全く見えてきませんので。」
「……。」
一護はどうするかと考えるが、一番にこの事を離すのはルキアたちと決めているので、こう答えるしかなかった。
「オレが知っているのはほんの少しだけ。」
「何をですか?」
「ルキアの体に崩玉というものが埋め込まれて、それを狙う奴が居る事。」
「……。」
「そいつらはあんたらを尸魂界から追放の方向に向かわせた奴だろう?オレはそいつを止めたい…いや、止めて見せる。」
「……。」
一護の言葉に喜助は顔を顰める。
「何で貴女がそこまで。」
「何で…か。」
一護は何処か遠い目をした。
昔同じ質問をされた時がある、だけど、その時の状況も問うた人も違った。
「オレは護られたから生きている。だから、その生かされた命を他人の為に使いたいんだ。」
「そうですか。」
納得する喜助に一護は昔言われた言葉を思い出す。
『少しは自分の事を気にしてくれ。お前が頑張るたびに心配する人も悲しむ人がいるんだからな、もう少し俺を頼れ。』
あの時は本当に嬉しかった。
だけど、頼れる人はまだ出会っていないのだ。それにもう一度好きになってもらえるなんて分からない。
だって、あの人の側には素敵な人が大勢居るのだから。
「分かりました、やりましょう。」
喜助の言葉に一護は考え事をしていたためにすぐには飲み込めなかったが、理解した瞬間頭を下げた。
「ありがとう。」
素直に礼を言う一護を意外に思ったのか、浦原は目を見開いていた。
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