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抗いし定め

「くそっ!」

 あまりの数の多さに石田は毒づく。

「破道の四 白雷っ!」
「……君は。」

 石田が対峙していた虚は突然現れた黒髪の少女ルキアの手によって昇華された。

「何で。」
「馬鹿者っ!」
「ぐっ!」

 行き成り腹を攻撃された石田は情けない声を出す。

「な、何を行き成り。」

 石田は苦悶の表情を浮かべながら仁王立ちするルキアを見上げた。

「死神が憎いのであっても、こう他人に害があるやり方は感心せぬな。」
「……。」
「一護が大方の虚を引き寄せてくれたから、こちらには少ない虚がおるが、そうじゃなければここは戦場だ。」
「……黒崎が?」

 ルキアの言葉に石田は目を丸くさせた。

「気づかなかったのか。」
「……。」

 ルキアはあれほどの霊圧を感じないなんて、コヤツ本当に阿呆ではないのかと思った。

「一護は自分の霊圧を餌にして虚をおびき寄せておった。それは半端ない数の虚だった。」
「まるで見ていたようだね。」
「見てはおらぬ。だが、ずっと一護の霊圧を確認していたからな。」
「……。」
「そろそろ…。」
「よお、遅くなって悪い。」
「一……なっ!どうしたのだ、一護っ!」

 声のした方を振り返ったルキアは目を丸くさせた。
 そう、数時間前は長く綺麗な髪が無残な姿になっているのだ。

「ちょっとな。」

 一護は髪を撫でながら怒りを宿した目で石田を睨んでいた。

「なっ!僕は何もしていないだろう。」
「直接ではな。」

 殺気を向ける一護に石田は可哀想なくらいたじろいでいる。

「何を言いたいんだっ!」
「分からぬのか、本当は阿呆ではないのか?」

 心底呆れたような顔をするルキアに石田は噛み付くように言う。

「何がだっ!」
「はぁ。貴様が呼び出した虚によってその髪をやられたのであろう、いくら一護といえど多くの虚を対峙して、無傷とはいかぬからな。」
「ああ、オレだって人間だからな。」
「……。」

 二人が石田を睨み続けるものだから石田は何も言う事が出来なくなっていた。

「どうする、一護。」
「どうするもこうするも…。」

 一護は空にひびが入っているのを気づき、斬月に霊圧を込める。

「こうに決まっているだろうっ!」

 大虚が姿を現した瞬間、一護は月牙天衝を放った。
 大虚は呆気なく昇華され、それを見ていた石田もルキアも唖然としていた。

「さて、石田。」
「な、何だっ!」

 あまりにも低い声に石田は警戒を露にする。

「一発殴らせろ。」
「はぁ?」

 怪訝な顔をする石田に一護は満面の笑みを浮かべた。

「問答無用。」

 一護は力一杯グーで石田の頬を殴った。
 石田は何メートルかぶっ飛んだが、一護もルキアも気にしていない。

「んじゃ、ルキア終わった事だし帰るぞ。」
「ああ。」

 一護とルキアは石田を放置してそのまま帰宅する。

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