[携帯モード] [URL送信]

抗いし定め

 一護は夜の空座町を、ルキアを連れて歩いていた。

「可笑しいな、確かこの辺で…。」

 ルキアは怪訝な顔をしながら伝令神機を見ていた。
 一護はここからドミノ倒しのようにあっという間に事件の渦中に巻き込まれていくのかと、考え少しぼんやりとしていた。

「一護、聞いておるのかっ!」
「あっ?悪い、聞いてなかった。」

 正直に言う一護にルキアは呆れたような顔をした。

「貴様…。」
「……もしかして、伝令神機が反応しているのに、虚がいないという話か?」
「聞いておるのではないか。」

 一護は頬を掻き、そして、目の前に青白い矢が通っていった。

「…出やがったな。」

 一護は心底嫌そうな顔で振り向けば、そこには石田雨竜の姿があった。

「石田、行き成りそんなもんで射られるなんて、危ねぇじゃねぇかよ。」
「…へぇ、君が僕の名前を覚えているんなて思ってもみなかったよ。」
「……。」

 敵意むき出しの目に一護は苦笑するしかなかった。

「お前の死神嫌い相当なものだな。」
「…知っているのか。」
「まあな、オレが死神になってから物凄く嫌悪の目で見てたのは知っていたさ。」
「……。」

 石田はメガネを押し上げ、冷めた目で一護を睨んだ。

「君は鈍いから、僕の殺意なんて気づいていないと思ったよ。」
「まあ、昔は気づかなかっただろうけど、今はな。」

 前の自分を思い出し一護は遠い目をする。

「で、滅却師のお前がオレに何のようなんだ?」
「……滅却師の存在を知っていたのか。」
「まあな。」

 一護は小さく肩を竦め、そして、真剣な目で石田を睨んだ。

「お前はオレを気に食わない事は知っているが、何のようで現れたんだ?」
「い、一護っ!」
「…ルキアお前は帰っとけ。」
「だが…。」
「朽木さんはいない方がいいだろうね。」
「……。」

 ルキアは一護と石田を交互に見て、そして、一護を睨んだ。

「帰ったら何があったのか、聞くからな。」
「ああ、了解。」

 立ち去るルキアを尻目に、とうとう本題に入る。

「僕は君たち死神が嫌いだ。」
「……。」
「君なんかより、僕の方が上だと証明してやろうと思っているんだ。」
「どんな方法でだ?」

 一護は今までよりも冷え切った目で石田を睨んでいたが、完全に自分の事しか考えていない石田はその事に気づいていない。

「簡単な事だよ。」
「ある道具があってね、それを使えば虚が現れる、そして、それを倒した数が多い方が勝ちだ。」
「……空座町を潰すきか?」
「まさか、僕の実力だったら軽いものさ。」
「……。」

 自分の力を過信しすぎている石田に一護はどうやってその鼻をへし折ってやろうかと考えるが、さすがに今潰せば、井上とチャドの能力の開花にはいたらないと思い、黙っている。

「怖気づいたのかい?」
「まさか、だけど、危険性が多すぎるので賛成しかねるがな。」
「僕の力を甘く見るな。」

 一護は嘆息しそうになる自分を抑え、口角を挙げにやりと笑った。

「甘く見ているつもりはねぇよ。だけど、もしもの場合を考えないのは愚かな事だろオレは思うけどな。」
「ふん。君はやはり僕を見くびっているようだね。」

 一護はこれ以上石田に何を言っても無駄だと思い、仕方なさそうに話を打ち切る事にした。

「分かった、やってやるよ。」
「それじゃ、明日が楽しみだね。」

 一護は石田に背を向け、自宅へと急いだ。

[次へ#]

1/6ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!