抗いし定め
6
ドン・観音寺が来るという当日一護は死神化して、ルキアと一護の抜け殻に入ったコンと共に来ていた。
「ほお、凄い人だな。」
「……。」
「姐さん、テレビカメラまで来てますね。」
「……。」
はしゃぐ二人に一護はかなりうんざりした顔でそれが始まるのを待った。
「ぼはははははっ!」
「……。」
出てきやがったと一護は滅茶苦茶嫌そうな顔でそいつを睨んだ。
一護はそういえば、昔、冬獅郎と白哉もこいつに巻き込まれたな、と遠い目をしている内に、ドン・観音寺はとうとうやらかした。
半虚の胸の穴にステッキを無理やり突っ込み、半虚は完全な虚化した。
ルキアは信じられない者を見るかのように、ドン・観音寺を見ており、一護は溜息を一つ吐くと、軽く地面を蹴り、ドン・観音寺の後ろ首を突っ込み、ビルの中に入っていった。
虚は一護たちを負うように中に入っていく。
「キュート、ガール、何をするんだっ!」
「うっせー、てめぇが余計な事をした所為でオレは尻拭いをさせられてんだ。」
額に青筋を浮かべている一護は、ようやく着いた屋上のドアを開けた。
「てめぇはそこで大人しくしてろっ!」
一護はドン・観音寺を睨み、そして、背負っていた斬月の柄を握る。
【おい、相棒。】
「……なんだよ。」
精神世界から破月が話しかけてきて、イラついている一護は低い声で返す。
【後であいつ始末しても良いか?】
「……。」
【あいつ滅茶苦茶うぜぇし、いても、いなくても一緒じゃねぇかよ。】
「……。」
今回は破月に同意したいが、流石に、ただうざいだけで人を殺したくない一護は首を横に振った。
「凄く魅力的だが、駄目だ。」
【ちっ……。】
「お前は出てくるなよ、こんな奴は一撃で終わるからな。」
【分かってるよ。】
ふてくされたように言う破月に一護は苦笑しながら、一撃で虚の仮面を斬った。
「おお、ワンダフルっ!」
「……お前、アレを見ても気づかないのか?」
「ワット?」
首を傾げるドン・観音寺だったが、すぐに昇華された虚が先ほどの半虚の姿をして消えた。
「ま、まさか…。」
「さっきの奴は所謂自縛霊って奴だが、お前が胸の穴を無理やりこじ開けたから、あいつは化け物となったんだ。」
「……わ、わたしは…。」
落ち込むドン・観音寺に一護は肩を竦める。
「お前のやり方は間違っているが、それでも、霊を何とかしたいのなら、もう二度とそんな事をするんじゃないぞ、そうじゃないとお前の周りの連中が巻き込まれるからな。」
「キュート・ガール…。」
一護は嫌な予感を覚え、顔を引きつらせた。
「わたしの為に…。」
「絶対違うっ!」
一護は全力で否定した。
「よし、決めたユーは今日からわたしの弟子だ。」
「………何でこうなるんだよ…。」
一護は肩を落としこうして愉快な一日が幕を閉じたのだった。
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