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抗いし定め

 雨は嫌いだ…。
 母親を失ったし、ルキアだってあの時連れて行かれた。
 雨は良くない事ばかりを起こしてばかりいる。

「一護。」

 首をめぐらせると、そこには最近恋仲になった彼がいた。

「朽木から聞いた。」
「そうか…。」

 一護は空を見上げる。

「雨は嫌いだ。」
「そうか。」
「……オレの大切なものを全て奪おうとした。」
「……なあ。」

 彼はオレの肩にそっと彼の羽織をかける。

「雨は雪にもなるんだぜ?」
「……。」
「それに、雨は命を育む。だから、悲しい方にばかり考えないでくれ。」
「……。」

 一護は俯き、体を震わせる。

「………雨はお前の涙を隠してくれる…、だから、今は泣いてもいいぞ。ここには俺しかいない。」
「……っ!冬…獅郎…。」

 一護は涙を浮かべ、そして、振り返り彼を抱きしめる。

「一護、俺はガキみたいな見た目をしているが、お前を支えられるだけの力はあると思うんだ。」
「とう…し…ろう……。」
「お前が泣きたい時、辛い時はいつでも呼んでくれ。」
「うん…うん…。」

 一護の中の雨はやんだ。
 雨は一護の大切なものを奪ったが、それでも、彼女に与えるのは悲しみだけではなかった。

「一護…、たとえ、住む世界が違っても、俺の心は常にお前と共にいる。」

 一護はゆっくりと顔を上げ、そして、綺麗な笑みを浮かべる冬獅郎を見つめた。

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