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抗いし定め

「馬鹿者っ!」

 来て早々怒鳴るルキアに一護は苦笑する。

「悪い悪い。」
「何を勝手にやっているんだっ!」
「別にいいだろう?」

 チャドは何故転校生の朽木ルキアがこんな所にいるのだと疑問を持つが、中々二人に声を掛ける事が出来ない。

「今度虚が出たのなら、必ずわたしを呼べっ!」
「はぁ、駄目だ。」
「何故だっ!」
「お前、調子が悪いだろう。」
「ぐっ……。」

 一護の言葉に何か思い当たるものがあるのか、ルキアは黙り込む。

「安心しろ、ある程度の虚なら倒せる。」
「だが…。」
「オレの斬月は常時開放型なんだよ。」
「何だと?」
「だから、常に始解状態だから安心しろ。」
「何故、早く言わぬ。」
「気づくだろう普通。」

 ルキアの言葉に少し呆れた表情を浮かべる一護だったが、チャドの物言いたそうな視線に気づいた。

「ああ、チャド、わりぃ。」
「いや、大丈夫だ。」

 一護は片膝をついてインコを見る。

「お前、名前は?」
「シバタ…シバタユウイチ。」
「そうか、シバタか、ごめんな、助けてあげられなくて。」
「……オネエチャン…、アノネ…。」

 シバタの口から出される真実は一度彼女が聞いた事のある言葉ばかりで、彼を救えない自分に苛立ちを覚える。

「よく頑張ったな。」

 一護は出来るだけ意識して笑みを浮かべた。

「オネエチャン……。」
「だけどな、死んだ人は生き返らないんだ。」
「……。」

 一護は彼を思ってか、正直に話す。

「お前に母親を生き返させるといった、あの虚は嘘を言っていた。お前が逃げればそれを助ける人間が現れ、それを殺す事をあいつは楽しんでいたんだ。」
「ソレジャ…。」
「……多分、お前の母親は尸魂界、という所に行ったと思うんだ。」
「ソール、ソサエティ?」

 首を傾げるシバタに一護は頷く。

「所謂、あの世、あそこにはたくさんの区域があって、お前の母親一人を見つけるのは本当に大変だと思う、だけど、そこに行けば母親と会えるチャンスが必ずあるんだ。」
「……。」

 シバタはふっと顔を上げ、チャドを見る。

「オジチャン…。」
「こいつは、嘘は吐かない…、お前の好きにすればいい。」
「……。」

 シバタは悩み、そして、一つの答えを出す。

「オカアサンヲチャント…ミツケル…。」
「そうか。」

 シバタの言葉に一護は安心したような笑みを浮かべた、ここにいればいつか虚の餌食となってしまう、だけど、向こうに行けば間違いなくその危険性がぐっと低くなるのだ。

「魂送をするな。」

 一護は斬月を持ち、そして、そっとシバタの額を斬月の柄で押した。

「アリガトウ…オジチャン…オネエチャン…オバチャン…。」

 シバタの最期の言葉が聞こえ、ルキアは複雑そうな顔をした。

「何故一護はお姉ちゃんなのに、わたしはおばちゃんなのだ……。」
「まあ、いいじゃねぇか。」
「良くはない!」

 一護の言葉にルキアが噛み付いた。

「で、チャド。」
「何だ?」
「悪いな。」

 一護はそう言うと、チャドに向かって記換神機を使った。

「……いいのか?」
「ああ、今はこれが一番なんだ。」

 ルキアは一護を案ずるように聞き、彼女は寂しげに微笑んだ。

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あきゅろす。
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