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白をはためかせて

 翌朝、一護は溜息を吐いた。
 家に大きな穴が開いているのは仕方がない、しかし、目の前に堂々と居座るルキアに一護は呆れた。

「一姉、どうしたの?」
「お箸止まっているよ?」
「悪い、何でもない。」

 間違いなく自分の妹たちがルキアを引きとめたのは理解できる。だけど、こうも堂々と居座られるのは予想外だった。

「………オレ、学校行くな。」
「え〜、お姉ちゃん全然食べてないじゃない。」
「そんなんじゃ、倒れるよ。」
「平気だよ。」

 一護は鞄を掴み、立ち上がる。

「んじゃ、行って来るな。」

 一護は玄関に向かい、靴を履く。
 外は一護の心情とは違い、快晴だった。

「は〜、本当に昨日の事なんて嘘のような天気だな……。」

 今日は学校までの道のりは思ったよりも遠く感じる一護であった。

「今日は早いね、一護、どうしたのよ、そんな暗い顔して。」
「たつきか。」

 幼馴染の少女に声を掛けられ、一護は顔を引きつらせた。

「いや、ちょっと朝から色々あってな。」
「ふ〜ん。」

 特に関心がないのか、たつきはあっさりとしていた。

「たつきは朝練か?」
「そうだけど?」
「ちょっと、部員借りてもいいか?」
「何?鬱憤でも溜まってるの?」
「そんなとこ。」

 一護は小さく肩を竦めてみせる。

「別にあたしは構わないけど、程ほどにしてよね。」
「わーてる。」

 こうして、一護はたつきの部活に顔を出す事が決まり、部員を伸していき、最後はたつきと手合わせをするが、時間切れで引き分けとなった。

「あんた手加減したよね?」

 汗をぬぐうたつきに一護は惚けようかと思うが、そんな事をすれば間違いなく容赦ない攻撃が来ると思い、一護は小さく肩を竦めるだけだ。

「そんなつもりはないんだけどな。」
「あんたはいつもそうよね、本当は強いくせに、何故か知らないけど本気を出さない。」
「……。」

 たつきの言葉に一護は苦笑を浮かべる。
 もし自分が本気を出したら間違いなく相撲取りを片手で投げ飛ばせるだろう。

「まぁ、よくわかんないけど、あたしはあんたの本気のせめて三割くらいの力で挑んでくれるように頑張る。」
「頑張れよ。」

 一護の言葉にたつきは小さく肩を竦めた。

「そういえば、あんた彼氏とはどうなったの?」
「ぶっ!」

 一護は丁度スポーツ飲料を飲んでいる最中で、彼女は思いっきりむせ始めた。

「げほっ、げほっ……。」
「あんた大丈夫?」
「だ…大丈夫…じゃねぇ……。」

 気管に入ってしまったのか、一護は苦しそうにそう言った。

「……そんなに驚く事言った?」
「……ああ、行き成り冬獅郎の事を言われてびっくりした。」

 一護は口元を拭って恨みがましくたつきを見た。

「ふーん、その様子だとまだ会えてないんだね。」
「…そう簡単に会えるかよ…。」

 一護は渋い顔でそう言った。

「そういえば、何か変な気配を感じたんだけど、アレって?」
「…さすが、たつきだな。」

 一護は最近特に霊圧の感知が長けてきている少女を見て、苦笑する。

「ん〜、本当はオレがある意味餌になろうと思ったんだけど、何をどう間違ってか、妹たちの所にいっちまった。」
「――っ!ってそれってかなり不味いじゃないのっ!」
「サポートには入るけど…、多分井上、チャド、石田を巻き込まねぇといけないだろうけど。」
「……。」

 一護の淡々とした言葉にたつきは顔を顰めた。

「あんたって本当に何を考えているのか分からない。」
「しゃーねーだろ、こういう性分だし。まぁ、たつきにばれているからこうやって正直に喋るけど、この事知っているのは親父と浦原っていう商人、それに夜一という女性だけだしな。」
「…本当にあん時あんたが何をしているのか知ってよかったわ。」
「……。」

 一護はたつきの言うあの時を思い出し、思わず顔を顰めた。
 たつきは巻き込まれてよかったと思っているが、一護にしたらどうして巻き込んでしまったのかと悔やまれるあの事件だった。

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あきゅろす。
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