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白をはためかせて

 一護はこっそりと勉強部屋を覗き込んでいる。
 下では遊子と夏梨が一生懸命に喜助相手に戦っている。
 どうやら、夏梨は瞬歩や白打が得意で、遊子は鬼道が得意なようだ。

「あー、口出ししてー。」

 一護はまだ拙い二人に口出ししたくてしょうがなかったが、それでも、今ここで姿を見せるわけにはいかないので我慢している。

「おお、一護ではないか。」
「あっ、夜一さん、久しぶり。」

 行き成り現れた黒猫に一護は微笑む。

「久しぶりじゃな。」
「どうだ?そっちは。」
「何とか形になっておる程度じゃな。」
「そうか…なら、掻き回す程度か。」

 一護は初めからあまり期待していなかったので確認の為にそう言った。

「ああ。」
「夜一さん、夜一さんはついていくんだろう?」
「ああ、そのつもりじゃ。」

 夜一が頷くのを見て、一護は破願する。

「そりゃ良かった、いくら潜在能力があろうと、流石に未熟な奴らばかりだからな。」
「わしならば経験豊富じゃしな。」
「頼んだぜ。」
「分かっておる、お主はどうするつもりじゃ?」
「オレ?オレは取り敢えず、見学だな。」
「おお、よいの。」
「そうでもないぜ?オレって前線にいるのが常だったら、マジこういう状況は辛いぜ。」

 本気で参っているのか、一護は顔を顰めている。

「まあ、よいではないか。」
「よくねぇよ。」

 一護がそう言えば、夜一は人が悪い笑みを浮かべる。

「何だよ。」
「お主の旦那ならば喜んでおりそうじゃの。」
「……。」

 夜一の言う旦那が誰なのか分かっているのか一護は顔を引きつらせる。

「あいつは正直ハラハラしているだろうよ。」
「ふむ。」
「……ほら、この先なんて誰も分からねぇし、もし、何かあればオレが動くのは確実だし、それがあいつにとっては辛いだろうしな。」
「成程の。」

 確かに一護の性格をよく理解しているものならば納得するだろうし、考え付くだろう、と夜一は納得する。

「まあ、オレの出番がない方がいいんだけど、実際はそんなの無理に決まっているからな。」
「……。」
「敵は巧妙に隠している。長い間十番隊の隊長として入り込んでいる冬獅郎だって未だ気づいていないからな。」
「……確かに、あやつは本性を出しておらぬからな。」
「だろ。」

 夜一の言葉に一護は眉間に皺を寄せてそう言った。

「はぁ、ああいうのってマジで苦手。」
「お主は腹の探りあいとかは苦手そうじゃの。」
「苦手そうじゃなくて苦手なんだよ。」

 一護は完全に機嫌を損ねているのか唇を尖らせている。

「そう言うのは冬獅郎が適当にあしらってくれたから助かっていたけど、オレ一人だったら絶対喧嘩を売っているだろうな。」
「うむ。」
「あー、あいつに会いたい。」
「惚気は結構じゃ。」
「本当の事だもーん。」

 一護は冗談ぽく言っているが実際はかなり参っていた。

「…………………あいつの髪を撫でながら膝枕したい。」
「……お主が膝枕をされるのではなく、するのか?」
「勿論。」

 なんとも奇妙な顔をする夜一に一護は力強く頷いた。

「だってさ、あいつの髪ふわっとして気持ちいいんだぜ、それに寝てるときの無防備な顔…あー、会いたい。」
「……。」

 夜一は溜息を一つ吐き、彼女の惚気を聞き続けるのだった。

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あきゅろす。
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