橙ネコと氷雪の隊長
3
ついてない……。
オレは顔を引きつらせて全力で走っている。後ろには十二番隊の隊員がオレを追いかけていた。
「待て、実験体っ!」
「大人しく捕まれっ!」
「捕まらなきゃ、おれたちが実験体になるんだ、大人しく捕まってくれっ!」
「ねこちゃ〜ん。」
正直言って怖い。
怖すぎる……っ!
オレは瞬歩を使いたかったが、そんなのを使えば間違いなく彼らは血眼になってオレを実験体として捕まえるだろう。
オレは丁度近くにあった部屋に逃げ込むと、そこはどうやら新しい死覇装の置き部屋らしくたくさんの死覇装が置いてあった。
オレは素早く猫から人間になり、そして、近くにあった死覇装に着替えた。
そして、何故か黒いかつらが落ちていたので、それを被った。
「居たかっ!」
「いや、居ないぞっ!」
「ここかっ!」
丁度オレが居る部屋に一人の隊員が入ってきて、オレと目があった。
「あっ……。」
「どうかしましたか?」
オレがニッコリと微笑むと、何故か隊員が顔を真っ赤にさせた……風邪でも引いているのだろうか?
「し、失礼しました。」
扉が閉まり、オレは脱力し、ずるずると座り込む。
「つ、疲れた……。」
何でオレが追われないといけないのかと不満を漏らしそうになるが、すぐに見知った霊圧を感じオレはすぐに猫に戻った。
オレはお婆ちゃんから貰ったものを咥え、窓から飛び出した。
「なっ!一護……お前どこから……。」
オレは冬獅郎の腕に飛び降り、彼は驚いていた。
「……さっき、十二番隊の奴らとすれ違ったが…、またか?」
冬獅郎の言葉にオレは疲れたように微笑み、そして、首を縦に振った。
「そうか……すまないな。」
オレは首を横に振り、そして冬獅郎に擦り寄った。
「仕方ない、このまま帰らせればどうなるか分からないからな、俺の側に居ろよ。」
オレはその言葉に目を輝かせた。
追いかけられるのは正直ごめんだが、こうやって冬獅郎と一緒に居られるのだけは感謝する。
そして、オレと冬獅郎は十番隊に向かった。
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