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橙ネコと氷雪の隊長

「とまあ、あらかたはこんな話かな?」
「……。」
「……。」

 乱菊と桃は互いの顔を見合わせ、呆然としていた。

「それで、一護はどうしたの?」
「ボスとやらをぶっ倒して、おランたちの美女を救い出してめでたしめでたし。」

 どこか投げやりに答える一護に乱菊たちは苦笑する。

「はぁ…どこをどう間違えたんだよ…オレは……。」

 本気で困っているのか一護は肩を落としてお冷を一気に飲む。

「うーん、姉御を引退すれば?」
「簡単にできたら問題はないし、一度やってみようとしたけど…駄目だった。」
「……ははは。」

 桃の提案に一護は遠い目をしながら言う。

「何でオレが尸魂界の動物たちの頂点に立たないといけないんだよ。」
「……。」
「……。」
「つーか、さっきがそもそもの切っ掛けで、虚に襲われそうになった奴らを守ったのも悪いのか?」
「……へ?」
「いやいや、痴漢騒ぎで犯人を見つけたのが悪いのか?」
「……ふぇ?」
「くそっ!色々やりすぎてどれが原因なんだっ!」
「……そりゃ、全部ひっくるめてのお前の行動だろうが。」
「「「――っ!」」」

 聞き覚えのある声に三人が振り返るとそこには十番隊の隊長であり、一護の伴侶である冬獅郎の姿があった。

「と、冬獅郎。」
「隊長。」
「シロちゃん。」
「雛森、日番谷隊長だ。」
「ごめん、日番谷くん。」
「……。」

 桃の言葉に冬獅郎は諦めたのか肩を落とし一護を見る。

「一護、探したぞ。」
「えっ?」
「今日は昼一番に総隊長に呼ばれていただろうが。」
「げっ!忘れてた。」

 一護は慌てて昼食を書き込むと伝票を持つ。

「二人ともありがとうな。」
「松本はちゃんと時間通り戻れよな。」

 二人は颯爽と出ていき、残された二人は互いに顔を見合わせる。

「本当にあの性格だから持てるのよね。」
「そうだよね、さりげなくわたしたちの分のお会計まですませちゃったね。」
「はぁ、あれじゃ、姉御とか言いたくなるわ。」
「うん、わたしも思わず呼んじゃいそう。」

 こうして、一護の武勇伝が増えていくのだった。

(終わり)

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