橙ネコと氷雪の隊長
3
よく晴れたその日、一護は散歩をしていると喧嘩する声が一護の耳に届く。
『あんたが悪いんでしょうがっ!』
『勘弁してくれよ。』
『この宿六がっ!』
『ふにゃああああっ!』
人とは違う言葉に一護が興味をひかれ覗いてみると黄色の毛のネコと灰色のネコが言い争っていた。
「……。」
『母ちゃん、顔だけは…。』
『あんたの顔くらい引っ掻いたって何もないわよっ!』
『ひでぇな。』
『はん、おっさんがよく言うわ。……あら、あんた新顔じゃない?』
黄色のネコが一護を見て声を掛ける。
「凄いな……。」
『あら、見てたの?』
「そりゃ、あれだけ大声を出せばな。」
『あんたの所為だからね、反省しなさいよっ!』
『そんな、堪忍してや、母ちゃん。』
『はんっ!』
「……。」
どうみても、黄色のネコの方が力関係上上のようで、一護は唖然とする。
「えーと、最近こちらに来ました、一護といいます。」
『あら、ご丁寧に、あたしはおランといって、こいつは銀三郎よ。』
「はぁ…。」
『あんたの名前は?』
「一護っていいます。」
『一護ね、いい名前じゃない。』
「ありがとうございます。」
おランに褒められた一護は困惑しつつもお礼を言う。
『本当にいい子じゃない、あんたに一つ言っておくわね。』
「はぁ。」
『この界隈ではね、非常に残念な乱暴者がいるから、気おつけなさいよね。』
「はぁ…。」
『あんたのような可愛い子を狙う奴だからね。』
「……。」
一護は苦笑を浮かべる。
「オレが可愛いとは思わないけど、おランさんは気を付けないとね。」
『えっ?』
「オレが今まで見た中でもトップレベルの美人さんだもん。」
『あら、ヤダ、この子ったら本当の事をっ!』
バシバシと一護の背中を叩くおランに一護は痛みを堪えたような顔をする。
『母ちゃん、可愛い子ちゃんが痛がってーー。』
『うっさいわね、この宿六がっ!』
『ふにゃああああああっ!顔が顔がっ!』
おランに引っ掻かれた銀三郎は顔を押さえ蹲る。
「………何ともバイオレンスな……。」
一護は唖然としながら二人のやり取りを見ていた。
[*前へ][次へ#]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!