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橙ネコと氷雪の隊長

「美味しそうだな。」

 ポツリと呟かれたネコ一護の言葉に冬獅郎は顔を上げる。

「一護?」
「あっ、ごめん、乱菊さんの机にあった雑誌に尸魂界のお菓子特集があったから、つい。」

 ばつが悪そうな声音に冬獅郎は苦笑する。

「いや、構わないが、何が美味しそうなんだ?」
「あっ、うん。」

 一護は前足である記事を押さえた。

「この和菓子が綺麗だし、栗とか使っていて美味しそうだな、と思ったんだ。」
「……。」

 冬獅郎は一護に近寄り雑誌を見れば確かに、一護が押さえるところにでかでかと和栗を使った可愛らしい和菓子が載っていた。

「食べてみたいのか?」
「えっ、いや、そうじゃないよ、ただ、いいな、と思っただけだよ。」
「……。」
「この話は終わり、終わり、オレそろそろ夕食の準備をするな。」

 まるで逃げるように一護は執務室から出て行った。
 冬獅郎はもう一度雑誌を見て、一護がいいな、と思った場所を記憶するのだった。
 この時冬獅郎は気づいていなかったのだが、雑誌は一月前のもので、この和菓子はもう売り切れいてないのだった。
 それに気づいたのは店にたどり着いてからだ。

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