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橙ネコと氷雪の隊長

「一護。」
「何だ?」

 冬獅郎は持ち帰った書類から一旦顔を上げた。

「前に俺と松本と虚の討伐に行ったのを覚えているか?」
「その時のだ?」

 一護は人型で小首を傾げる。

「森での。」
「ああ、アレか。」

 一護は自分がまだ正体がばれる前の事を思い出し頷く。

「あの時は分からなかったが、あの虚はお前がやったのか?」
「勿論。」

 誇らしそうに笑う一護に冬獅郎は複雑そうな顔をする。

「何で昇華しなかったんだ?」
「冬獅郎たちが討伐に来たのに部外者のオレがやるわけにはいかないし、それに猫の姿で斬魄刀は使えないからな。」

 冬獅郎は思わず頷きそうになるが、すぐに一護の言葉を反芻して目を丸くさせる。

「猫の姿だと?」
「ああ、白打で気絶させた。」
「……。」

 猫の姿でも下級の死神よりも強いのかと、冬獅郎は頭を抱えそうになった。

「冬獅郎?」
「もう、猫の姿で戦うな心臓に悪い。」
「え…と……。」

 一護は顔を引きつらせ、視線を泳がせる。

「何だ、まだ隠し事か?」

 冬獅郎はこれ以上黙っていれば後でどうなるかしらないぞ、と言うように怪しく笑っているので、一護は観念したように言うしかなかった。

「隠し事じゃねぇけど……。ばれる前に猪とか熊とかをオレが持ってきたのを覚えているか?」
「あっ、ああ。って、お前まさか。」
「あはは…。」

 笑って誤魔化そうとする一護に冬獅郎は頭を抱える。

「何でそんな無茶をするんだよ。」
「だって、乱菊さんが…。」
「確かにあいつは美容だとか、酒に合いそうだとか言っていたが、それを真に受けるのはどうかと思うぞ。」
「だって、冬獅郎に喜んで欲しくて。」

 冬獅郎はいじらしい一護の言葉にこれ以上何も言えなくなり苦笑しながら彼女の髪を撫でる。

「今後は気をつけろよ。」
「極力。」

 一護の言葉に冬獅郎は苦笑を漏らす。
 そして、その三日後、一護は猫の姿のままで主といっていいほどの魚を持ち帰るのだが、冬獅郎も一護もそれは知らない事だ。

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あきゅろす。
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