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橙ネコと氷雪の隊長

 冬獅郎は焦っていた。
 そして、後悔していた。
 今回の虚は雑魚といってもいいほどの弱い奴だからと、一護の気晴らしの為につれてきたのだが、一護が行った方から虚の声が聞こえ、背筋から嫌な汗が流れている。

「隊長。」
「……。」

 何処となく暗い顔をする乱菊に冬獅郎は自分に言い聞かせるかのように乱菊に話しかける。

「大丈夫だ。」
「ですが…あの子は………。」

 ただの猫なんですよ、と言おうとした乱菊だが、目の前からやってくるオレンジ色の物体を見て絶句する。
 そして、乱菊は己の目を擦るが、その光景は変わらない。

「た、隊長。」

 乱菊が冬獅郎を見れば彼も驚いているのか、常では考えられないほどの間抜け顔をしている。

「い、一護。」

 珍しく動揺する冬獅郎に一護は獲物を口からはずすが、その手はしっかりと虚を押さえつけていた。
 何処となく誇らしげな様子の一護は嬉しそうに鳴くが、乱菊も冬獅郎も手放しで一護の無事を喜べるような状態ではない。
 理由は簡単だ。一護は自分の体の倍以上の虚を運んできたのだ。

「……ねぇ、隊長。」
「何だ。」
「まさか…ですけど、一護がやったのかしら?」
「……。」

 状況から見ればそうなのだが、運んできたのは猫の一護なので、二人はそれを信じる事が出来なかった。

「松本。」
「何でしょうか?」
「この辺に他の死神が居ないか一応確認をしてくれ。」
「隊長は?」
「この虚を昇華させて、報告書を作る。」
「分かりました。」

 乱菊と冬獅郎は近くに居た死神が何処かに居る事を願ったが、残念ながらそんな死神はいなかった。
 そして、この事件は迷宮入り一歩手前までいった。

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あきゅろす。
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