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橙ネコと氷雪の隊長

「……ご…、いちご…、一護っ!」

 必死で誰かが自分の名前を呼んでいた。
 一護が目を開けるとそこには青い顔をした乱菊の姿があった。

「あっ……良かった……。」

 一護が目を開けた事に気づいた乱菊はホッと息を吐いた。
 一護は周りの部屋の光景を見て、ここが四番隊なのだと知った。

「あんた、丸三日生死の境をさまよっていたのよ。」

 一護は目を丸くさせるが、寸前の自分の姿を思い出し納得する。

「隊長もまだ目覚めないし……、もう駄目かと思ったわよ。」

 一護は乱菊の言葉に驚き、体を起こそうとする。

「あっ、あんたは安静にしとかないといけないのよっ!」

 乱菊は一護を寝かせようとするが、冬獅郎を心配する一護は無理やりにでも起きようとする。

「…分かった、ちょっと待ってなさい。」

 乱菊はそう言うと一旦消え、そして、次に現れた時には大きな籠を持って現れた。

「あんたはここで寝てなさい、隊長の所にはあたしが連れて行くから。」

 一護は一つ鳴き、じっとする。
 乱菊は一護がじっとした事にほっとしながら、一護を籠に入れ、そして、冬獅郎の病室に向かった。

「……。」

 一護は青白い顔をしている冬獅郎を見て、涙が出そうになった。

「……隊長…一護ですよ…早く、起きてあげてくださいね……。一護は貴方を待っているんですからね。」

 乱菊はそう言うと冬獅郎の髪を撫で、一護と冬獅郎をしばらく二人っきりにさせようと思ったのか、部屋から出て行った。
 一護は乱菊の霊圧が十分離れたのを確認して、声を出す。

「冬…獅郎?」

 戸惑いがちに呼ばれ、ピクリと冬獅郎の瞼が震え、そして、彼女の大好きな翡翠色の瞳が現れた。

「……いち…ご?」
「冬獅郎っ!」
「……怪我は大丈夫か?」

 自分の事よりも一護を案ずる冬獅郎に一護は泣き顔を見せる。

「馬鹿野郎…、オレの体よりも自分の体を心配しろよ……。」
「それはお前も同じだろう…。」

 自分の体については無頓着な二人は同じ事を思っていた。

「ごめんな、護れなくて。」

 突然冬獅郎が謝り、一護は頭を振った。

「ううん、オレだって…冬獅郎を護れなかった……。」
「……一護…。」
「…冬獅郎。」
「ん?」
「生きていてくれてありがとう。」

 一護は心からの言葉を口にして、冬獅郎はその言葉に目を丸くさせる。

「ありがとう……。」
「……一護、礼を言うのは俺の方だ……生きていてくれて……俺の側に居てくれてありがとう。」

 二人はまだこの戦いが始まったばかりだと知っていた。
 しかし、それでも、今生きている事に感謝した。
 乱菊が戻るまで、一護と冬獅郎は互いが生きていた喜びの言葉を口にする。

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