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橙ネコと氷雪の隊長

 旅禍が現れたと聞いた、冬獅郎はこっそりと一護に合図を送り、彼女と二人っきりになる。

「何だ?冬獅郎。」
「市丸が旅禍と接触した。」
「……。」
「多分、護廷が荒れる、だから、気をつけてくれ。」
「……冬獅郎。」

 一護は不安そうな顔をして、そして、周りに死神がいない事を確認して、人型になった。

「なっ、一護!」

 流石に行き成り人型になられ、冬獅郎は焦るが、一護はそんな事を気にせず、彼を抱きしめた。

「無理はしないでくれ。」
「一護……。」
「オレはお前がいないともう、無理なんだ。」

 一護の肩が小刻みに震え、冬獅郎はそっとその肩を抱く。

「大丈夫だ…お前がいてくれれば。」
「冬獅郎。」

 二人は猫と人なのだが、そんな壁を崩して恋仲という関係を築いている。

「これから何が起こっても…オレは冬獅郎の味方だから。」
「ああ。」
「冬獅郎……頼むから無茶はしないでくれよ。」
「分かっている。」

 冬獅郎は一護の頬に口付けを落とした。

「一護こそ無茶をするなよ。」
「大丈夫、絶対にばれないようにするから。」
「……。」

 ややずれた言葉を口にする一護に冬獅郎は少し呆れる。

「隊長、どこですか〜。」

 暢気な声を出す副官に冬獅郎の機嫌はまっさかさまになる。

「……なんであいつはいつもいつも…。」

 拳を震わせる冬獅郎を見ながら一護は猫の姿に戻った。

「冬獅郎…あまり乱菊さんに八つ当たりしないでくれよ。」
「さあな、あいつが持ってくる厄介ごとに怒らない自身はないな。」
「……。」

 一護は冬獅郎の言葉を聞き、溜息を一つ零した。

「…冬獅郎…気をつけてくれよ。」
「……。」
「何か…嫌な予感がするんだ……。」

 冬獅郎は一護の勘があまりはずれない事を知っている、それは動物の本能から来るものかは分からないが、彼女の勘はかなり的を射るのだった。

「肝に銘じておく。」
「うん。」
「一護、お前も十分気をつけろよ。」
「分かっているって。」

 二人はこの時、気づいていなかった、もうすでに自分たちが厄介ごとに巻き込まれているなど……。
 そして、大怪我を負うなんて、全く知らない事だった。

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