橙ネコと氷雪の隊長
1
旅禍が現れたと聞いた、冬獅郎はこっそりと一護に合図を送り、彼女と二人っきりになる。
「何だ?冬獅郎。」
「市丸が旅禍と接触した。」
「……。」
「多分、護廷が荒れる、だから、気をつけてくれ。」
「……冬獅郎。」
一護は不安そうな顔をして、そして、周りに死神がいない事を確認して、人型になった。
「なっ、一護!」
流石に行き成り人型になられ、冬獅郎は焦るが、一護はそんな事を気にせず、彼を抱きしめた。
「無理はしないでくれ。」
「一護……。」
「オレはお前がいないともう、無理なんだ。」
一護の肩が小刻みに震え、冬獅郎はそっとその肩を抱く。
「大丈夫だ…お前がいてくれれば。」
「冬獅郎。」
二人は猫と人なのだが、そんな壁を崩して恋仲という関係を築いている。
「これから何が起こっても…オレは冬獅郎の味方だから。」
「ああ。」
「冬獅郎……頼むから無茶はしないでくれよ。」
「分かっている。」
冬獅郎は一護の頬に口付けを落とした。
「一護こそ無茶をするなよ。」
「大丈夫、絶対にばれないようにするから。」
「……。」
ややずれた言葉を口にする一護に冬獅郎は少し呆れる。
「隊長、どこですか〜。」
暢気な声を出す副官に冬獅郎の機嫌はまっさかさまになる。
「……なんであいつはいつもいつも…。」
拳を震わせる冬獅郎を見ながら一護は猫の姿に戻った。
「冬獅郎…あまり乱菊さんに八つ当たりしないでくれよ。」
「さあな、あいつが持ってくる厄介ごとに怒らない自身はないな。」
「……。」
一護は冬獅郎の言葉を聞き、溜息を一つ零した。
「…冬獅郎…気をつけてくれよ。」
「……。」
「何か…嫌な予感がするんだ……。」
冬獅郎は一護の勘があまりはずれない事を知っている、それは動物の本能から来るものかは分からないが、彼女の勘はかなり的を射るのだった。
「肝に銘じておく。」
「うん。」
「一護、お前も十分気をつけろよ。」
「分かっているって。」
二人はこの時、気づいていなかった、もうすでに自分たちが厄介ごとに巻き込まれているなど……。
そして、大怪我を負うなんて、全く知らない事だった。
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